馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

JRA賞、各方面反応の個人的まとめ。

JRA賞選考と、少数意見の問題 - 殿下執務室2.0 β1
▼ブクマコメントでオススメいただいたエントリを拝読。

議論の余地が無いカテゴリにおいて空気を読んでその馬に投票しろ、という圧力は微妙に中華マスコミ的な姿勢を記者に求めているようで、率直に気に喰わないなというのはありますね。

この辺は個人的にも心から同意できるところ。バーバラ@ジャパンタイムズみたいな記者が是か非かという投票をするなら、僕は是に投じます(氏の馬のチョイスに同意するという意味ではなく)。みんなこんなヤツばっかだったら困るでしょという意見もあるでしょうけど、これぐらい判断がシンプルな問題でなおかつ投票者に直接的な利害関係や利益誘導がない限り、分母数が充分であれば「常識的=多数派意見」というふうに捉えて問題ないと思いますし。ただ、

例えば投票対象が関西馬関東馬に分かれていれば組織票が働くとか、色々弊害もあったりする訳で。そういう点では、むしろ10人くらいの識者を集めた上で、それぞれが選考に関する内容を「優駿」に公表するような形で最終的な結果を発表する、みたいな方が最終的には腑に落ちやすい部分も出てくるのかなぁとは思われ。

僕の記憶が確かなら、1999年度の代表馬選考において、スペとエルコンで票が分かれて識者会議(11名)による決戦投票を行った結果、関東人主導によりエルコンが逆転で年度代表馬になった、というのは非常に物議を醸したところだったわけで(参考:http://www.ibjcafe.com/talk/horse/keiba/20000115135053.htm#5888)、少数による選考には怖い部分があるなあというのが、実感と実績を伴った危惧です(それがたとえ公開を前提としたものであっても)。笑い話になりますが、まず“識者”を選ぶ投票から始めないといけなくなりそうだ、という。でも、

少数で選考する方式にすれば、もうちょっと全会一致的な結果が出る確率は上がると思いますが、正直言ってそれやるだけなら、JRA賞ってマジ無味乾燥でつまらんものだなぁと心から思ってしまう訳でして。

という感覚と、

個人的にはそういう「酒の肴」として美味しい部分に関しては、より散文的というか、数字でばっさりと切るような決め方をしない方が、競馬のカルチャーとしては面白いものが残せるのではないかなぁとは思っております。

というまとめにはやはり同意(引用部の順番が前後してしまってますが変な意図はありません)。
 ではどうすればいいかという点については、まぁ本音を言ってしまえば先日書いたように「もう年度代表馬だけでいいんじゃね?」という部分もあるんですが(えー)、現行制度を生かすのであれば、投票記者全員にチョイス理由を短くてもいいから全部書いてもらって公開すればいいんじゃないの、とは思います。一応皆さんプロですからまともな文章は書けるでしょうし、この時期何点も出版される年間回顧ものの雑誌のひとつとして、『優駿別冊・JRA賞スペシャル2006』って感じでまとめて出版でもすれば、コアなファンはわりと興味を持つんじゃないでしょうか。いみじくもid:arikui氏がこのエントリ

JRAは彼らの弁解の余地を与えてるんだろうか。投票者内訳を公表してあとは各位に任せます、ってやり方が現状だ。JRAが300名近い記者たちにそういった場所を設けることはないだろうから、こんなものは単なる数字として見るに留めるべきである。

と指摘されている部分が一番大きな問題だと思うので。まぁarikui氏は出発点は同じでも方向性としては「投票者名なんて公開しなくてもいい」という向きなわけですが、ガトー@馬耳東風さまも“まずは投票理由の付記から実現させてほしい”と書かれていることですし、そう無茶な話でもないかと。だからってそこまでやる「必要性」が本当に「マスとしての受け手」側にあるのか、と問われれば苦笑するしかないんですが。
 あと、「イグ・ノーベル賞的な選考」は非常に興味があるので、誰か競馬系ブログの偉い人が音頭を取って意見なり票なりを募ってまとめてもらえるなら、僕も喜んで参加するのになぁ、と呟いてみます(笑)。


私がディープを年度代表馬に選ばなかった訳 - スポーツ報知
ダイワメジャーは短距離馬?失礼のような - nikkansports.com
▼実際こうやって紙面を使って立ち位置を表明してこられる記者もおられるわけで、その主張がどうやねんという議論も含めて、「特定多数のマスコミ人により記名投票」という今の形式に各人の選定理由公表を加えることは、殿下のおっしゃる“無味乾燥”化を防ぐための潤いになるんじゃないか、というのが個人的な意見。あと、「投票馬非公開」「該当馬ナシ」がアリかナシかがという問題については、僕は明確な意見を未だ持ちませんが、少なくとも前者については、個人的に共同通信の永井氏が非公開だったのは残念だった、という気持ちはあります。



長かった3日間
もう一度JRA賞など - 白線の内側
▼水上氏のご意見。まっとうな線なんじゃないかと思います。前に取り上げた時も思いましたが、この方パッと見のスタンスほどラジカルなこと考えてるわけじゃないですよね。なんか親近感が湧く、というか、もっと言えば僕は十数年後こういう競馬オヤジになりそうだ、という予感すらしたり。


JRA賞の話する? - 須田鷹雄の日常・非日常
4兆売ってる時代ならともかく - 須田鷹雄の日常・非日常
▼ダートの選考については、まぁ誰しもが引っかかる部分だということでしょう。ちなみに“まず2歳戦まで含めてレートを取り寄せて、さらに勝ったレースの数や格など諸々の条件を加味していって考え抜いて決める”と紹介されているラジオNIKKEI(須田さんはいまだにたんぱって書いてますが)・佐藤泉氏のチョイスは、ダートだけブルーコンコルドであとは全部1位得票馬。んー、「みんなの意見は案外正しい」ってことになるんでしょうか。



JRA賞は現状ファンが競馬マスコミ人の見識をチェックする場になってる - 昨日の風はどんなのだっけ?
▼自分で注目してると表にまでしておいて、三宅氏と及川氏に言及してなかったことに気付きました(苦笑)。「該当馬なし」というのは、ルールとしてアリならあっても仕方ないかとも思いますが、自分が投票できるなら多分そうは書かないだろう、とも。実際にその路線を走って主要レースを勝った馬がいる以上、その馬(とレース)をないがしろにするようなことはできないでしょう、いくら判断に困ったとしても。あとシェアオーナーの話になると、どうしても「Y野氏は寒いよね」という流れにつなげたくなるのでそこも触れないようにします(えー)。ただ、もし仮に自分に投票権があって、なおかつアロンダイトブルーコンコルドかどっちかをシェアしていたら、ダート部門を平常心で投票するのは難しいだろうな、とだけ。