馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

早くも秋風。

▼今週頭に2頭の出資馬の引退が発表され、これでこの1ヶ月での出資馬引退は4頭に。ただ、そのうち3頭は、

  • 重度の屈腱炎発症
  • 500万下で12戦連続4着以下、4戦連続2桁着順と頭打ち
  • 骨折による調整遅れで、再ファンドを視野に入れた地方転出

とある意味仕方ないんですが、残る1頭、ウインジェネシスについては、

 ウインジェネシスは、先日右後肢の歩様が乱れ、その後は厩舎でぐったりしている状況が続いていました。そして日に日に状態は悪化、右後肢には麻痺の症状が見られ、先週木曜日には全身麻痺の状態で、馬房から動くことができない状況とまでなりました。
 ミッドウェイファームの獣医師の見解では、日本でも例の少ない脳脊髄糸状虫病(セタリア症)にかかったのだろうとのことでした。回虫症、円虫症、フィラリアなど寄生虫による病気はたくさん種類がありますが、今回は例の少ないセタリア症ということで、エクイバラン(フィラリアを予防する薬)など予防の薬をすり抜けてジェネシスの体内に糸状虫が入ったのだろうとのことです。
 今回の糸状虫は大きくなって全長2cm〜3cm、蚊を媒体として馬の体内に入り、血管を通って脳、脊髄で暴れ、神経に影響を及ぼすというものです。
 ジェネシスもこの糸状虫の影響で、後肢の麻痺、そしては全身の麻痺まで引き起こしました。重度の症状であれば、脳までも麻痺の状態に陥り、死に至るということもありますが、今回のジェネシスは駆虫剤により、昨日日曜日には全身麻痺の状態を脱し、洗い場まで自分の脚で動けるようになっています。
 獣医師の見解も、「最悪の事態は免れたようです。おそらく、もう既に中で糸状虫は死んでいて、いずれ体外に出ることになるでしょう」とのことでしたが、続けて「でも、麻痺の後遺症は必ず残るので、競走馬として復帰するのは厳しいでしょう」と、現役復帰は無理とのことを示唆しました。
 何時この糸状虫が体内に入ったかは定かではありませんが、前走での不可解な落馬も、このセタリア症の影響があったと考えれば、つじつまがあいます。しかし、もうすでに糸状虫は駆除されたとのことですから、今後ジェネシスの命に関する心配はありません。
 そして片山取締役社長、坂本取材局長、国枝調教師の話し合いの結果、8月30日(水)に美浦TCへ移動し、中央競馬登録抹消の手続きを行うこととなりました。今後については、まだ行き先に関しては未定ですが、乗馬として第二の馬生を送ることとなります。
 国枝調教師は「残念は残念だけど、命に別状がなかったことは何よりです。ジェネシスは本当に頑張ってくれた馬だし、思い入れも深いからね。乗馬になれるとのことでホッとしています」と、胸をなでおろしていました。(以下略)
(ウイン公式サイトより)

と、なんと寄生虫原因の能失という世にも珍しい引退理由。まぁ、家畜である以上こうしたケースは別に不自然ではないのかもしれませんが、疫学が発達した昨今では、確率としては非常に低いものでしょう。ましてやジェネシスについては、少なくとも今年に入ってからは美浦トレセンと近郊のミッドウェイファーム、そして東京・福島各競馬場にしか移動していないわけですから・・・・・・。怪我をしたわけでもなければ、能力的な底を見せたわけでもない、そんな状況でのこうした不慮の別れには、なんともやりきれないものが残ります。ともあれ、新馬戦での完敗と2戦目での鮮やかな変わり身から始まって、2歳コースレコード記録(すぐ破られましたが)、スランプ、そして復活と、目まぐるしくも楽しい一口ライフを提供してくれ、トータルで5勝もした功労馬。そんなジェネシスの余生に、幸多からんことを願うばかりです。お疲れ様でした。