馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

急がば回れと言いますが。

鬱々として | 白線の内がわ
香港帰国組、色々と騒がしい模様だが。 - 殿下執務室2.0 β1
▼このエントリもそうですが、水上氏のこの間出た著書『競馬界に喧嘩売らせていただきます!―水上学のニッポン競馬に口アングリー』(注:Amazonへのリンク・ID付きです)を読んでも、ああ、この人はモノが言えるってだけで思考回路は単なる競馬ファンのオヤジなんだな、というのが率直な感想。そんなメンタリティなんだもんで、連載で文句をつけてった部分についての突っ込んだ事情を直接関係者に聞いては、その当事者の説明で結構納得しちゃう、みたいな流れの繰り返しになってて、ある意味タイトルどおり(喧嘩を「売ってる」だけで実際喧嘩してるわけではない)の本だと腑に落ちたところもあり、そういう点ではちょっと面白かったです。あと小島茂師のインタビュー(本の中では覆面扱いでしたが、多分間違いないでしょう)も良かった。特に「裁決委員に対するジョッキーの口の利き方がひどい時がある」という部分が、藤田騎手の本を読んだ後だっただけにかなりツボでした。そういえば、師の公式ブログも、特に一口馬主にとっては必見と言える内容が続いてますけど、あまりに濃すぎる内容にそのうちどっかからストップが掛かるんじゃないかと他人事ながら心配です。
 話を戻すと、海外遠征のリスクというのは(一口馬主なら特に痛感してる通り)無視できないのは当たり前。水上氏の

ただ3歳馬の海外遠征は、例えばそれが近場の香港であっても、もしかしたら負担の大きいものなのかもしれない。現に、遠征地がどこであれ、故障してしまうケースが増加しているように思う。シーザリオシックスセンス、そして今回と、大看板になりうる馬が壊れていく姿はもう見たくない。

という感想は、一競馬ファンとしてもっともなことかと。これが「若い時期の海外遠征は故障に直結するのはデータ上間違いないのでみんな行くな!」みたいな論調ならアレかなぁと思いますが、いくら競馬マスコミ人が起こしたエントリとはいえ、ブログの雑感である以上別に敢えて突っ込む必要もないレベルかなぁと。ちなみに最近の「3歳での海外遠征」をリストアップしてみる(漏れがあるかも)と、

で、太字はクラブ馬。シーザリオの時なんか、出資者のうち結構な数の人たちが遠征を(もちろん戦前から)疑問視していたのを見ていただけに、僕自身も故障の報を聞いた時はガックリきた記憶があります。第一、3歳で遠征しようって馬ならクラシック戦線で実績を積んでいるのは当たり前だけに(フラムドパシオンみたいな例もありますが)、「クラシック出走のリスク」を水上氏が否定、あるいは無視しているようには全然読めないのは気のせいでしょうか。むしろ「3歳の実績馬が急いで二兎を追う形で全てを失うことへの危惧」に読める・・・・・・というのは擁護に回り過ぎか。ともあれ、有芝氏のエントリは、単体では全く穴はないんですけど、喧嘩の売りどころというか、拳の振り上げ方はちょっと的外れかなぁ、とも。