馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

競馬専門紙に求めるもの

ホースニュース休刊に思う | 白線の内がわ

あの名門紙「ホースニュース馬」の休刊という驚きの知らせが入った。

▼感想を書く前に、ちょっと自分の馬券を買うための環境を整理しておくと、
<自宅観戦>


<現地観戦>


・・・・・・という感じでしょうか。昔は一口出資馬が出るレースが載っているブックを全部買っては切り抜いていたものですが、最近は余程のことがないと週末のお供に紙媒体を買うことはなくなりました。


▼ただ、自分の例があまり参考にならないと思うのは、競馬観戦における「馬券」という要素のプライオリティが昔に比べて非常に低くなってしまっている、というところでしょうか。あと、いくつか競馬ブログ界隈の人の見解を拝見しましたが、やはりざっくり言って「馬券(予想)に対する情熱がさほど高くないファンの意見」という印象が否めません。
 一方競馬場に行って周囲を見回すとすぐわかるように、どろどろの馬券オヤジという人種、あるいは若い人でも純粋にギャンブルスポーツとして楽しんでいる層というのは確実に現存しているわけで。ポータビリティという要素の重要性も含め、そういう人たちにとって専門紙、つまり馬券情報に特化した紙媒体という需要が減衰しているとはあまり思えません。ですので、自分としては

競馬自体のファン減少も確かに一因だと思うが、それよりも競馬ファンが専門紙を買わなくなっていることの方が直接的な原因になっているのではないか。

と分析する水上氏と違って、ただただそういう<ゴリゴリの(現地)馬券派>の絶対数が落ち込んでいるという事実のひとつの証左として、今回の『馬』休刊があった、というふうに把握しています。まぁ、それを指して「競馬ファンが専門紙を買わなくなっている」と表現しているのかもしれませんが。

特に若いファンが、それだけの金額を倹約してしまおうというのは、志が低すぎる。無理をしても専門紙を買うくらいの気概で臨んでほしいと思うのは・・・おかしいのか?

 「志や気概を持って」馬券勝負に臨んでるような類の人はどんどん減ってるでしょうし、JRAの戦略としても増やそうとは思ってないでしょうから・・・・・・。レジャーのお供としての専門紙というのは、費用対効果に合わない、もしくは目的にそぐわない、という話では。

一目で視野に入れることで見えてくるものは実に多いと思うのだが・・・。

というのは分かる話ではあるんですが、しかし色んな要素を横断的に把握し、ロジカルに分析してシステマティックに買い目を決めている人って、どれだけいるんだろうと思ったりも。しかも平場となれば・・・・・・。
 ただ、だからといってライトユーザーに迎合する紙面づくりは、差別化という点で自分の首を絞めるだけだろうなぁ、とも思うので、難しいところではあるんですが。


▼そういえば、ウチのオヤジなんかわりと馬券派なんですが、馬柱以外の部分で何に一番注目しているかというと、お気に入りの記者、つまり予想家の「印」なんですね。だもんで、

例えば取材を縮小して、その分、調教分析、ローテ分析をしっかり行う記事が出現すれば、400円なり500円なりを払う「値ごろ感」も出てくるのではないだろうか。

というところとも通じる話だと思うんですが、結局は「人」なんじゃないかなぁと。<馬柱から見えてくるもの>(もちろん調教欄でも血統表でもいいですが)を、ロジカルに、あるいはドラマティックに「読める記事」に仕立てることができる人の重要性というのは、「単なる出馬情報」がチープ化した情報過多の今、相対的に上がっているはずではないか、という気がします。
 そういう意味で、馬柱に本紙印以外は横並びでほとんどの記者のダンゴが並び、他のスペースは関係者コメントで埋まる、というスタイルからの脱却が、手っ取り早い差別化の方法かなぁと。情報量を軸にした横断性ではなく、記者を軸にした縦断性を売りにした紙面づくりに、特に専門紙は傾注すべきだという気がします。
 例えばもう経営の苦しい専門紙は合従連衡して、その中から一種のカリスマ性(と書くと大袈裟ですが)を獲得しうる「ダンゴ打ち」数人を前面に出し、しかもレースの重要性や予想スタイルによって極端に担当レース配分を偏らせるぐらいのことをしないといけないフェーズなのでは・・・・・・と。といっても、ブックとスポーツ紙以外はほとんど買ったことがないので、「そんなのもう○○がやってるよ」という話なのかもしれませんが。


▼ちなみに、JRA公式サイト提供の出馬表は、ほとんど見ません。データの確認だけならあれで十分だと思いますが、あれで予想するというのは辛い・・・・・・。情報量云々以前に、単なるリーダビリティという点で、一覧するのに上下スクロールしないといけないというのはしんどすぎます。直接書き込みができない点も含め、予想ツールとしてweb(PC)はまだまだ紙を凌駕できないというのが個人的な見解ですね。まぁ400〜500円はちと高いかなと思いますが。
 あと、厩舎コメントというのも僕は結構重宝してます。丸呑みにするんではなく、例えば「帰厩して日が浅い」とか「外厩でしっかり乗り込んできた」とか「飼い食いが悪い」みたいな馬柱に載らない事実関係と、調教欄や馬体重といったデータを関連付けることで見えてくることもあったりしますし。「その馬だけを縦断的に見てきている人」の見解、というのは、大本営コメントであっても利用の仕方次第では馬鹿にできないところがあるんじゃないかと。ただ、相手関係がどうとか状態が良い悪いとかいう、単なる印象コメントは参考にしづらいので、その辺取材者の人には考えて欲しいとも思います。


▼さて、淀へ行ってきますか・・・・・・。