馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

淘汰から保護へ?

▼孫引きですが。

2009年以降、JRAは“格差是正”に乗り出す。

第1は「一調教師あたりの預託頭数の見直し」

現行は“馬房数×3”が基本だが、来年から20馬房を超える厩舎の預託頭数は2倍までとなり、上限は60頭まで引き下げる。

嵐猫

ホントかよ、という話。


>>ここから追記
 なんとなく意味が通らない話だなぁと思ってたら、どうやら“上限は60頭まで引き下げる”の前に、“以後は段階的に”の文言が抜けているらしい、という話が(一次ソースは未確認のまま)。
 そもそも原文通りだと、“20馬房を超える厩舎の預託頭数は2倍までとなり”の意味がよく分からない。例えば、

  • 24馬房→2倍までになるので上限48頭
  • 18馬房→今まで通り3倍で上限54頭

というのが成立しそうに読めてしまいます。もしかして、

  • 24馬房→24*3=上限72頭→20*3+4*2=上限68頭に

という意味なんでしょうか?(メリット制で増えた分についてのみ2倍)で、いずれ馬房数や計算方法に関わらず60頭上限というキャップを被せますよ、と。それなら理解できなくもありません。
 あとは公式ソースを待ちますが、とりあえず「ソースは2ch」はやはり危険ですね、ということで。
<<ここまで追記


 調教師名 管理頭数 内2歳馬 馬房数 ×2 差引1 差引2
(美)藤沢和雄 71 7 24 48 23 16
(栗)中村均 69 18
(美)二ノ宮敬 68 13 24 48 20  7
(美)大久保洋 65 12 24 48 17  5
(栗)森秀行 65 0 24 48 17  17
(美)和田正道 64 10 24 48 16  6
(美)田村康仁 64 9 24 48 16  7
(美)萩原清 61 13 22 44 17  4
(栗)池江泰郎 60 12 24 48 12  0
(栗)鮫島一歩 59 2 22 44 15  13
管理頭数上位10厩舎の表(TARGET調べ)。ただし中村厩舎は橋本寿正師逝去にともない5/17付で18の馬房を臨時貸付され24頭を転厩させているので、参考記録
 単純に考えると、「差引1」欄の頭数だけリストラする必要が出てくるということになります。こりゃ大変だ。
 ただ、2歳馬管理頭数を差し引いた「差引2」欄の方を見た方が、もう少しリアルかもしれません。こちらは要するに、「ここの数字分3歳以上馬のリストラに成功すれば、その後1頭管理馬を整理するたびに2歳馬を1頭登録できる」ということになるので。よって、ここに乗るような大厩舎でも、例えば池江郎厩舎あたりはそう労せず対応できるのではないかと思います。逆に、森・藤沢和・鮫島各厩舎あたりは本当に大変そう。

メリット制で順調に管理頭数を伸ばす厩舎が出る一方、下位厩舎では経営危機に陥るケースが目立つため、バランスに配慮したものだ。

嵐猫

預託料に人件費を乗せている以上、馬房さえ埋まってくれれば最低限の経営は成り立つはず、といった目論見でしょうか。まぁ、管理頭数制限が厳しくなっても、「上位厩舎から下位厩舎への都落ち的転厩が増える」だけで、新馬の入厩頭数は引き続き上位厩舎に偏向し続ける(「格差」は解消されないか、むしろ広がる)と思いますが、JRA的にはそれで十分なのかも。馬主側にしても「飼殺し」が減りそうだというメリットは否定できないところですし。
 ちなみに管理頭数下位10厩舎。

 調教師名 管理頭数 内2歳馬
(美)高松邦男  20  6
(美)中島敏文  20  4
(美)田子冬樹  19  3
(美)中野隆良  18  2
(栗)梅田康雄  17  3
(美)境征勝  17  3
(美)沢峰次  16  2
(美)郷原洋行  16  3
(美)内藤一雄  13  2
(美)岩城博俊  11  1
中野隆厩舎とか個人的には結構意外でした。梅田父先生なんか今年のクラシック戦線で見せ場を作りましたし、どういう形でもこうした厩舎に馬資源が回りやすくするような変更はあっていいのかも。一口馬主として、上位厩舎の馬房争いの厳しさを見てしまっているからそう思うのかもしれませんが。ただ、多くの節度ある調教師さんは現状でもきっちり馬房数の2倍+α程度に受け入れ頭数を調整していますし、むしろ3倍という設定の方がおかしかったんじゃないかという気もします。そう考えるとトレセンサイドでは大きい問題はないのかも。あるとすれば、歴史も裏付けもないのに若手人気厩舎になりふりかまわず取り入ろうとしている新興・中小クラブの方とか?
 ともあれ、もしこの数字通りの制限になるのなら、上手くリストラできない厩舎の「2歳馬入厩渋滞」ができないことを祈るばかり。

2番目は「一馬主あたりの入厩頭数の見直し」

現行の一馬主の入厩数は最大100頭だが、これを90頭に減少させる。近年は社台グループを筆頭に大手馬主、有力馬主の寡占状態が進み、存続の危機に瀕している零細馬主、個人馬主を救う狙いがある。こちらは2010年から実施の方向だ。

嵐猫

大して変わらないんじゃね? という。100頭制限一杯使う可能性があるのは社台レースホースサンデーレーシングサラブレッドクラブラフィアンの3馬主だけで、いずれも母体の牧場は販路の分散を進めています。今後段階的に減らしていくのかもしれませんが、最終的に50頭ぐらいにするならともかく、そうでなければ大して変わらないか、せいぜい新しい看板が増えるだけのような。ただまぁこの辺は数字の裏付けなく印象で書いてますので、ツッコミ歓迎。

一方、外国人馬主の参入案件「国内非居住者の馬主登録の見直し」も進んでいる。

嵐猫

▼これは以前も触れたと思うので、実際の進展待ち。