馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』

環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)

環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)

(アフィではありません)
http://www.janjan.jp/culture/0707/0707018158/1.php
▼こんな記事がホッテントリに上がっていたのでちょっと触れてみますが、最初の方を読んだだけの印象を書くと、「噛み合っていない」の一言に尽きます。何でちょっとしか読んでない段階で上から目線でそう断言できるかというと、

1.「地球温暖化で水位は上昇しない」のウソ

っていう見出しがありますよね。でも、武田氏の著書を読むと、

現代の科学でわかることは、地球が温暖化すると海水面が上がる可能性が高い

って書いてあるんですもの(注:P125の7〜8行目)。



▼と、これだけ書くとまた噛み合わなくなるので、この書籍の地球温暖化に関する章(P113〜166)のうち、件の記述があるP125までに書いてある武田氏の主張(と思われる)部分を箇条書きにしてみます。

  • 1984年の元旦に朝日新聞に載った温暖化問題記事はオカシイ
    • 20世紀の前半は気温が少しずつ上昇しているが、ほとんど二酸化炭素は増えていない
    • 1940年からの30年は、同じペースで二酸化炭素が増えているのに、気温が低下して冷夏が問題になっていた*1
    • 記事が出た頃は「温暖化太陽風原因説」もあったのに、触れられていない
    • 記事中の「世界の平均気温が上昇すると南極や北極の氷が溶けて海水面が上昇する」という文章には事実と異なる点が二つある
      • 世界の平均気温は上がっても、南極の平均気温はむしろわずかだが下がっている*2(のに記事にはその記述がない)
      • 北極の氷が溶けてもアルキメデスの原理により水位は絶対に上がらない
    • 地球温暖化により「南極の氷は増える」というのが第一感
      • 南極大陸周囲の気温(海水温)が上がれば水蒸気が増え、それが風に乗って南極大陸に運ばれれば雪や氷となってさらに降り積もると推測されるため
      • ただしこれは風の吹き方なども影響するので、ICPP報告の予測(注:多角度からの予測が記載されており一面的ではない)を参照して平均すると、北極と南極の氷の影響という点のみにおいては、「南極の周りの気温が高くなると、僅かだが海水面が下がる」という結論
      • しかし、トータルで見ると温暖化により海水面は上がる、という報告になっている
      • その理由は「北極や南極の氷が溶けるからではなく、海の水が膨張するから」
      • よって、地球が温暖化すると、海水面は上がる可能性が高い


▼僕の誤読がなければこんな感じです。なので、リンク先の「グリーンランドの氷床」云々といった話は該当部分には全く出てきません。「そういう観点が抜けているのがオカシイ」という主張であればまだ分かるんですが、リンク元の文章はあまりそういうふうには読めないような・・・・・・。


▼要するに、批判っていうのは対話であって、単なる主張の投げ合い(しかもお互い届いていない)では意味が無いよね、というお話でした。