馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

タイキの件について軽く。

大樹ファームの競馬ファンド 「資金管理に問題」 農水省などが改善命令 - 北海道新聞

投資家の被害はないという。

 商品ファンド法では厳格な区分が定められているにもかかわらず、大樹ファームなどは維持会費と同社の資金を同じ預金口座で管理していたほか、配当に回すべき賞金の一部を牧場運営費などに使い、代わりに維持会費から配当を支出していた。農水省は、こうした管理方法が投資家の不利益につながる恐れがあるとして、賞金や維持会費などの預かり金を金融機関に預託するなど適切に管理することを命じた。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007062901045

投資家の被害はないという。


商品投資販売業者に対する行政処分について - 北海道財務局ホームページ

農林水産省及び北海道財務局が立入検査並びに報告徴収を実施したところ、その業務の運営に関し、投資者の利益を害する事実があると認められることから、本日、同社に対して、法第27条の規定に基づき、下記の業務改善命令を発出した。

▼上記引用、強調は引用者によります。・・・・・・ってなわけで、どうも報道自体に曖昧さがあるような。「恐れがある」だけで業務改善命令って出るものなんでしょうか。個人的には、北海道財務局の発表が一番納得いきます(公式なんで当たり前ですが)。で、実際どんな“利益を害する事実”があったのかということですが・・・・・・クローバーの時と違って、配当自体が滞ったりはしていないのは報道どおり。


▼ちなみに大樹レーシングクラブの公式サイトに載った、今回の件に対する見解。
株式会社大樹レーシングクラブ及び有限会社大樹ファームに対する業務改善命令について

 既に発表しておりますとおり、株式会社大樹レーシングクラブ前代表取締役窪田康志並びに有限会社大樹ファーム代表取締役赤澤芳樹は既に退任し、両社新経営体制の下、会員の皆様に信頼と安心をお届けできる優良なクラブを目標に始動したばかりではございますが、旧経営体制の下において、維持会費や賞金等の取り扱いについて業務効率を優先し、両社間で帳簿上での相殺を行っておりました事など、一部不適切な経理処理等が指摘されました。
 賞金配当や引退精算等については、これまでも正しく計算された金額を遅滞無く会員様にお支払いしておりましたが、業務改善命令を受けるに至ったことにつきまして深く反省するとともに、会員様をはじめ関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしますことを心よりお詫び申し上げます。
 本日現在において、維持会費や賞金等の適切な管理など既に取り組み済みのものもございますが、両社全役職員は今回の処分を厳正に受け止め、全社を挙げて法令遵守を徹底し、再発防止と信頼回復に努めてまいります。

▼あくまで旧体制のやったこと、と。



<関連>
2007-07-01 - FrontRunner

競走馬用のファンドの勘定ってそんなにみんな厳しくやってるんですかね。いくら賞金が入って、いついくら支払いをしなければいけないから、いくらの現金がなければいけない、という程度には管理されているはずですけど、ファンド単位で管理なんてされてるのかなあ。

▼という疑念に対して。


競馬投資で2社が賞金配当を流用、農水省が業務改善命令 - YOMIURI ONLINE

賞金の一部を牧場運営費などに流用。同クラブは投資家への配当を続けるため、投資家から預かった餌代などの「維持会費」を配当にあてていた。

▼この引用部分が大きな問題なのではないかと。以下は、この報道事実からの類推であることを先に断っておきますが、

  • 賞金の一部を牧場運営費などに運用
    • 投資家は愛馬会法人(大樹レーシングクラブ)に対して出資している。そして、その愛馬会法人はさらにクラブ法人大樹ファーム)に「出資」している形式をとるため、厳密に言えば「財布が別」というレベルではなく、あくまで「投資先と顧客」という関連性。なのに、大樹ファームがその関連施設(牧場=大樹ファームや大樹トレーニングセンター)の運転資金に配当(すべき)金を回す、というのは、ファンド運営上非常に問題のある行為。
  • 投資家から預かった餌代などの「維持会費」を配当にあてていた
    • この維持会費によってのみ、大樹レーシングクラブ→大樹ファームの運営資金はまかなわれるべきであるのに、(おそらく会員減少や売れ行き不良により)それができていない、という経営状態は、投資家の利益を損なう恐れが強い。

繰り返しますが、以上はあくまで類推です。ただ、あとで書きますが、北海道財務局理財部金融監督第2課(長い)に電話で聞いた時の説明での表現は、

  • 「大樹レーシングクラブは、大樹ファームが(JRAから大樹ファームに支払われた)賞金を配当してくれないので、やむをえず維持費から会員に配当していた」

というものでした。どうでしょう、こう書くと大問題のように思えてきませんか?


<競馬ファンド>大樹ファームに業務改善命令: 大阪の耳はロバの耳

維持会費(カイバ代)をちゃんと大樹ファームに渡して大樹ファームは受け取った賞金をちゃんと大樹レーシングクラブに渡さなきゃいけないのに維持会費が配当金としてブーメランで戻っていた。という話やね。これってぶっちゃげ

自転車操業

じゃん。

いっぱい走った(勝った)月があったりそうでなかった月があったり配当金なんて結構バラバラなものなのに、常にカイバ代ブーメランで配当できていたってことは

全然走ってなかった

ってことじゃん!ヽ(`Д´)ノ

▼すごく表現がわかりやすいので引用させていただきました。もう少し補完すると、

  • 厩舎への預託費>月々の定額維持費>>牧場への預託費

という前提がある以上、定額の維持費と牧場への預託費の差額で配当を賄う一方、一部の走る馬が稼いできた賞金で牧場などの赤字を補填する、という形態を取っていた、という風に考えられるということですね。で、ここから類推できるのは、

  • 確実に計算できる馬以外は、なにがしかの理由をつけて入厩を避ける
  • 維持費と預託費の差額実費は引退時に精算する必要があり、その資金繰りがつくまで引退できない(させられない)

という具体的な不都合が出る「可能性がある」、と。まぁ、後者のいわゆる「引っ張り」は決して珍しいケースではありませんが(苦笑)。
 あ、またしても繰り返しますが、これはあくまで類推です。先ほど北海道財務局理財部金融監督第2課に電話して確認しましたが(電話代高くついただろうなぁ)、

今回の処分はあくまで発表されている「資金運用形態」の問題点についてであって、競走馬資源の運用方法について具体的に不適切な点(不必要な引っ張りなど)があった、ということではない

“投資者の利益を害する事実”というのは、

  • 顧客への分配原資である賞金の一部を(株)大樹レーシングクラブへ支払うことなく、牧場運営費等に流用していたこと。
  • 運用資産、預託資産等に係る区分経理及び管理を適切に行うための体制整備がなされていないこと。
  • 商品投資販売業に関する知識・経験を有する担当者が本社には置かれておらず、東京支店の担当者も(株)大樹レーシングクラブの業務に専ら従事しており、商品投資販売業を公正かつ適確に遂行できる体制を有していないこと。

という、発表した通りの点についてのものである

というのが公式見解ですので誤解なきよう願います。ただ、

競走馬資源の運用方法について具体的に不適切な点がない、というのは、あくまでクラブ側からの申告に基づいたものであり、今後はそういった点も含めて監視対象としていくのでご安心ください

というコメントもありましたので、「これまでそういう事態が無かった」という保証があるわけではないのもまたご承知おきください。まぁ、会員がどう捉えていたか、という点については、某掲示板の大樹スレの過去ログでもお読みください、ということでひとつ。


▼とりあえず、タイキ会員の知り合いについては、この記事を見せて熟考を促してみます(苦笑)。個人的にも他人事じゃないんですけどね・・・・・・いつ他のクラブに波及することやら、戦々恐々です。


無視できないニュース。 - きりたのホビーナデイズ。

大樹非会員の私にとっても対岸の火ではなく、もっと真剣に危機感を抱くべきニュースですよね。時まさに税制がお先グレー〜真っ黒な状況。その上、クラブの姿勢が胡乱では、続けられる趣味ではありません。

▼ですよねぇ・・・・・・。あと、きりたさんは“愛と誠意”という表現を使ってらっしゃいますが、これもその通りかと。きれいごとではなく、むしろシビアな判断として、「馬さえ走れば」「いい馬さえ募集してくれれば」という状況では最早ないんだ、ということを肝に銘じるべきでしょう。
 しかし、こうして一般ニュースに載ることで、ますます業界への風当たりが強くなるのはつらいところです。ダメなクラブの淘汰が進むのと、業界全体の危機意識が高まることは、悪いことではないのかもしれませんが・・・・・・。