馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

祭りだ、踊れ

http://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2008/12/24/20.html

 ファン投票1位馬(ウオッカ)の回避は50年ぶり。たまたま今年だけとの見方もあろうが、昨年の年度代表馬アドマイヤムーン有馬記念に向かわずに引退した。今年の有馬記念の結果次第では、年度代表馬は2年連続で有馬回避馬となる可能性も少なくない。そろそろ将来的な視野に立って有馬記念のあり方を考えるべき時期だろう。

▼危惧自体は分からなくもありません。しかし、競馬がギャンブルスポーツであり、興業という面が非常に大きいことを考えると、

日本で最も馬券が売れるレースは有馬記念

このことがとりもなおさず「最高峰のレース」という意味であり、それが全てだ……という見解が一番素直ではないかと思います。


▼ちなみにその有馬記念、そして比較対象としてジャパンカップの、近年の売上額を表にまとめてみました。単位は億円。数字のソースはTARGET(JRA-VAN)のデータと産経のこの記事から。

年度 JRA年間 JC勝ち馬 売上 占有率 有馬記念勝ち馬 売上 占有率
1995 37666 ランド 397 1.05% マヤノトップガン 820 2.18%
1996 39862 シングスピール 323 0.81% サクラローレル 875 2.20%
1997 40006 ピルサドスキー 325 0.81% シルクジャスティス 781 1.95%
1998 38012 エルコンドルパサー 333 0.88% グラスワンダー 750 1.97%
1999 36572 スペシャルウィーク 296 0.81% グラスワンダー 733 2.00%
               
2000 34347 テイエムオペラオー 264 0.77% テイエムオペラオー 584 1.70%
2001 32586 ジャングルポケット 253 0.78% マンハッタンカフェ 512 1.57%
2002 31334 ファルブラヴ 217 0.69% シンボリクリスエス 511 1.63%
2003 30103 タップダンスシチー 239 0.79% シンボリクリスエス 516 1.71%
2004 29314 ゼンノロブロイ 219 0.75% ゼンノロブロイ 516 1.76%
2005 28946 アルカセット 216 0.75% ハーツクライ 499 1.72%
2006 28233 ディープインパクト 207 0.73% ディープインパクト 440 1.56%
2007 27591 アドマイヤムーン 210 0.76% マツリダゴッホ 452 1.64%
2008 スクリーンヒーロー 222
と、こんな感じ。ちなみに1999年と2000年の間に空白行があるのは、JCの賞金が2000年から増額(1着本賞金13,200万円→25,000万円)されていることを示すためです。
 で、こうして見ると、少なくとも賞金増額によってJCの売上割合は変わらず、一方有馬の売上割合は(相関関係があるかどうかはともかく)2000年にガクンと下がり、その後はほぼ一定。これをどう判断するかは意見の分かれるところでしょうけど、とりあえず有馬記念に対するファンの支持は(ここ10年ほどは)目に見えては下がってはいない、というのが個人的な見解。一方、JCの賞金増額にはあまり意味があったとは思えないところ。外国馬もファンもついてこないレース改革に意味があるのかね、と。
 スポニチの岡本記者が、この辺の数字を押さえた上で

最も1着賞金が高いのは有馬記念(1億8000万円)ではなく、ジャパンC(2億5000万円)だ。これにはジャパンCの国際的な地位を高める狙いがあるが、今年の外国馬の最先着が9着というのは過去最低。狙い通りに有力馬が集まっていない現状では、さほど効果があるとは思えない。それなら、その賞金を有馬記念に回してはどうか。馬主や調教師は賞金の多寡でレース選択をするわけではないが、それでも有馬記念の地位回復にはつながるはずだ。有馬記念を名実ともに日本最高峰のレースに。

と提言しているのかどうかは不分明です。ただ、有馬云々以前にJCの「限界」が見えてきた現在、JCに浪費している「無駄金」を他に回す(別に有馬の賞金でなくてもいいと思いますが)、という策自体はアリかもなぁ、とも。この辺もJCの立ち位置の捉え方次第ではありますが。


▼まぁ、それはともかく有馬記念です。ウオッカはおらずとも、ダスカがいて、マツリダがいて、スクリーンヒーローがいて、(これが引退レースの)サムソンがいる。なんとも心躍るメンバーではありませんか。今週ぐらいは小難しい話はJRAの中の人に任せて、この暮れの大一番を楽しめばそれでいいんじゃないかな、とそう思います。