馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

命の価値は?

馬の余生なんたら ついったーへん - 血統の森+はてな
睡眠中のTLに遅れて突入。 - 殿下執務室2.0 β1
Twitterで呟いていたことが見事にさらされてしまいました。まぁ時間があれば再編集してエントリにしようかとも思ってましたのでいいんですが、なんか誤解をまねきそうな表現もあり、ちょっとフォローをば。


▼まず競走馬(特に引退馬)の生命保護問題への基本的なスタンスとしては、2年ほどまえに書いた

の内容とほとんど変わりません。強いて言えば、今回twitした中にあるように、

そもそも引退馬を「飼い殺し」にしようというのが無理な話

http://twitter.com/Southend/status/3865452669

というのは多少意識するようになったかな、というぐらいでしょうか。
 そもそも前々から、「牧場見学は無料(牧場サイドの厚意が前提)」という点に疑問があって、もちろん観光資源として考えれば、(馬がいなければなにもないような)地域に多くの競馬ファンが来訪してもらえるというだけで一定のメリットはあるのかもしれませんが、それにしてもなぁという。
 それならば、その馬自身に深いゆかりがある(生産牧場など)ならともかく、そうでない馬を単に馬房に空きがある養老牧場にバラバラと配置するよりは、ある程度ネームバリューのある馬を積極的に集めてアミューズメント施設化し、それなりの対価をもらって馬に還元すべきではないか、という思いはあります。まぁ今でも馬事公苑ノーザンホースパーク優駿ビレッジAERUやホロシリ乗馬クラブなんかはそれに近い状態とは言えるのかもしれませんが、もっと能動的(特にJRAが)でもいいのかな、と。なんなら比較的若い馬を中心に、ガチンコでなくても全然いいのでジョッキーマスターズよろしくレジェンドレースをやってみてもいいんじゃないか、とか。


▼あと「お題目」云々というのは別に揶揄でもなんでもなくて、あの考え方は宗教的概念でありながら、人が「(他者の)死」という不可避の感情的危機を処理するための一種の合理性であると僕は思っています。「○○することが供養になる」という考え方が競走馬に敷衍されたところで、至極自然なことである、という以上の感想はありません。


一口馬主的に言えば……と言っても僕は別にその層を代表しているわけではありませんので個人的な経験を書くと、一口出資を始めて2年目にプライヴァティーアという出資馬がいまして、僕はこの馬に非常に、今からすれば自分でも信じられないほどに入れ込んでおりました。管理する堀厩舎に勝ち祝いを贈ったり、年賀状を出したり……(返事もいただきました。良い思い出です)。戦績を見ていただければ分かるとおり、成績的には単なる下級条件馬なんですけれど。
 しかし、突然の故障で引退。それはもうショックでした。その時にアップしたエントリはこちら。今読むとあっさりしてますが、ブログに書く気にもならなかったというのが正直なところです。
 で、悩みました。元々「能力の限界で引退したら自分が引き取ってできるだけ長く地方で使いたい」と思って地方馬主資格の取得方法とかを調べていた矢先だったもので、唐突に競走能力喪失となった際、それでも引き取るか……という葛藤です。まぁ今から考えれば、色んな意味で土台無理な話だったと思うんですが、その時は自分なりに真剣に悩んだものです。
 でも、結局は踏ん切れませんでした。踏ん切ったところで多分実現はしなかったのではないかとは思いますが、とにかくその時踏ん切れなかったという事実が、今でも自分の中で足枷のようになっていることは確かです。


▼想像ですが、こういった心理的葛藤は、多かれ少なかれ一口馬主経験者であればあったのではないかと思います(全員がとは言いませんが)。たかが一口馬主ではありますし、目くそ鼻くそという話ではありますが、

わちきもPOGやるんでわかるんですけど

そろそろ引退馬の余生について考えてみないか?(一口馬主): キルトクールブログ

こういう人に一口馬主目線でなにか言ってほしくはないな、というのが、(感情的に)正直な気持ちです。まぁ理屈の上では筋が通っていれば誰がなにを言おうと構わないんですが、

問題提起・引退馬余生システム案投げっぱなしジャーマン
    ↓
ガトーさん・一口馬主会員(競馬ブログ界随一のジャーナリスト)
    ↓
投げっぱなしジャーマンを受け止め、提案文書へ昇華!

そろそろ引退馬の余生について考えてみないか?(システム): キルトクールブログ

結論部分まで他人に丸投げですからね。なんともコメントのしようがありません。強いて言えば、繰り返しになりますが

だからどうした

http://twitter.com/Southend/status/3866137368

ってとこです。


▼でもまぁ、定期的にこういう話題が上がるのは悪くないかな、とは思います。そのきっかけを作ってくれたという点では感謝するとともに、遅まきながら、

に申込んできました(一般会員ですが)。現状僕にできそうなのはそれぐらいですが、なにかきっかけがあればまた自分なりに動いてみたいと思います。


▼蛇足ですが、一口クラブの引退馬の扱いというのは、結構クラブによって違うもので、例えばキャロットなんかは会報で引退馬の特集を組んだりする一方、ロードのように(実際に乗馬として引き取られて競技で活躍している馬でさえ)、売却先を頑なに教えないようなクラブもあります。
 ちなみに私的功労馬の引退後の行き先で自分が把握しているのは、

あたり。ウインジェネシスやロードスフィーダのような罹患馬は、行き先は把握してませんが厳しいんだろうなぁ……。


<追記>
▼ロードスピリット・ロードノアール・ウインフラッグ・マイネルアフェットあたりは地方競馬で今でも頑張っている模様。それだけでも地方競馬の存在価値があるな、というエゴ丸出しの感想を持ってしまった。以前地方競馬ネガティブキャンペーンと捉えられかねないエントリ群(実際は「消えろ」じゃなくて「変わらなきゃ」エントリだったんですが)を上げた僕がなにを言う、という感じですが、感情というのはそれだけ不合理で手前勝手なものだ、ということでひとつ。