馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

ウイントリガー、急逝。

▼以下、ウイン公式より。

 栗東トレセン内にある競走馬診療所の入院馬房にて開腹手術後の治療を施されていたウイントリガー。今週初めあたりの状態は非常によく、少しずつカイバの量も増やしつつ、それを完食できるほど元気になっていたそうで、宮本調教助手は「来週ぐらいには退院の準備をしておいて、とも言われていました」と語っていました。
 ところが、その旨の内容を調教報告でお伝えした9日水曜日の夜になって、再び腹痛が起き始めてしまいました。翌10日朝になってもその症状は断続的に続き、鎮痛剤を投与しても治まりませんでした。日が暮れたあたりからその痛みは激痛に変わったそうで、腸の様子をエコーで検査すると、「腸のねじれは見られないものの、腸全体がパンパンに肥大して張ってしまっている状態。これでは再度腹部を開いても手の施しようがありません」という所見。ここまでよく頑張ってきたトリガーもついに自ら横になってしまいました。ここでついに「これ以上は馬が苦しむだけです。楽にさせてあげましょう」と、獣医師の判断が下されました。その後の検査で腹膜炎も併発してしまっていたとのことですから、痛さはまさに限界だったのでしょう。いまはただ冥福を祈るほかありません。
 宮本助手は泣きはらしたような腫れぼったいまぶたで「申し訳ありませんでした」と、何度も何度も頭を下げておられましたが、一番辛かったのは宮本助手本人だったのは間違いありません。「最後までトリガーに付き添ってくれてありがとうございました」以外にかける言葉はありませんでした。
 山内調教師にとっても、ボールドの骨折に続いて、不幸の連続ですから言葉も少なくなるのは仕方がありません。「これからの馬だったのに・・・」と真っ暗な表情で頭を下げていました。山内調教師の無念も痛いほど伝わってきます。
 ここまで長きに渡り、トリガーに温かいご声援を送っていただいた会員の皆様には、心よりの感謝をいたしますとともに、このような事態となりましたことを深くお詫びいたします。

▼ただ、無念の一言です。


▼前日の更新で腹痛再発の報を見た時、経験上「これはダメかも」と覚悟しましたので、ショック自体にはなんとか耐えられました。しかしそれでもこの喪失感は、約10年に渡って100頭以上の出資馬を見てきた僕でもなかなか慣れるものではありません。


▼しかも、ああいう話をしていた矢先のことだっただけに、なおさら思うところが多くなってしまいます。思うに一口馬主とそうでないファンの最大の違いは、身銭を切っているかどうかではなく、どれだけその馬の馬生に(感情的に)コミットしているか、ではないかと。毎週のようにその馬の動向を気にかけ、一喜一憂し、レースに出るとなれば口取りの電話を掛け、電車や飛行機に乗って競馬場まで行き、スーツ姿や素人カメラマン姿で必死に愛馬の走りを追いかけ、時には遠くの牧場まで出かけて鼻面を撫でたりしてみる。そんなことをしていて感情移入するなという方が無理な話だと思います。もちろんそうでないファンがコミットしていないというわけではありませんが、平均すればある1頭への関わりの濃さというのは、次元が違うと言って良いほどの差があるのではないでしょうか。

 トリガーの遺髪と蹄鉄は、神戸市にある馬頭観音へ、宮本助手が厩舎を代表して納めに行ってくれることになりました。


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▼フライングですが、日曜に競馬場へ行く前に参拝してこようと思います。




▼さよなら、トリガー。



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