馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

種牡馬導入話。

競馬ブックweb:JRAが昨年の凱旋門賞馬バゴを購入
▼バゴBagoは昨年の凱旋門賞勝ち馬(今年は3着)。他にクリテリウムアンテルナシヨナル(2歳)、ジャンプラ賞パリ大賞(以上3歳)、ガネー賞(4歳・今年)とG1を計5勝。まだ4着以下がなく、掛け値なしの名馬であることは間違いありません。気になる点があるとすれば、勝ち鞍はすべて仏国内のもので、3回の遠征(英インターナショナルS・タタソールズGC・”キングジョージ”)はそれぞれ3、2、3着。Swain産駒で母父Nureyev、Mr.ProspectorとHaloまで母系に入る血統構成は、日本向きと言えなくはないのかもしれませんが、その分配合的には難しい面も。また、基本的に日本のRed God系というのは全世界的な活躍に比しては不遇で、G1馬はサクラローレルマチカネフクキタルの2頭のみ。<訂正。イエローゴッドの産駒にカツトップエースファンタストブロケードがいました。あと交流G1勝ち馬としてアブクマポーロも。最近パッとしないのは間違いないと思いますが>まともに行くと重すぎ、かといってカリカリした面が強調され短距離型に出ると大物感に欠ける、といった感じで、日本ではなかなか難しい父系です。
 しかし別にそんな細かい話はどうでもよくて、要するに「こういう典型的な欧州中長距離馬の導入はもう(当分)無意味」ということにそろそろ気付こうよという話。ラムタラペンタイアザグレブ・エリシオ・ピルサドスキードリームウェル・オース・ハイライズ・クロコルージュと、ここ数年死屍累々の惨状を見てきているというのに・・・・・・。
 大体、現状だとクラシック獲りたけりゃ基本的にはサンデー系付けとけばいいんですから、需要自体が見込めません。ダンスインザダークスペシャルウィークマンハッタンカフェアグネスタキオン、そしてここにネオユニヴァースザッツザプレンティデルタブルースディープインパクトが加わってくるわけですから、種牡馬としての商品価値を考えたとき、このあたりにはバゴが到底(生産者・マーケットへの訴求力という点で)勝てないであろうことは、今年種付け数を一桁にまで激減させたアラムシャー(2004年供用開始、愛ダービー・”キングジョージ”)の例を見ても明らかでしょう。他にも社台のファルブラヴ、ダーレーのグランデラムーンバラッドといった強力なライバルもいることですし・・・・・・(まぁ、ダーレーサイドは成功するかどうか微妙な気もしますが)。
 仮にそのへんと同レベル・同数の繁殖牝馬を集められたとしたらどうなるのかは知るべくもありませんが、実際問題同じ土俵に上がることさえ難しいでしょう。もし引退レースのジャパンカップで素晴らしいパフォーマンスを見せてくれれば、まだどう転ぶか分からない面もあるかもしれませんが・・・・・・今年は順当ならあの馬が出てくるでしょうしねぇ。


スポニチ:種牡馬ストラヴィンスキー輸入
▼バゴに比べればこちらはまだ理解できなくもありませんが、それでも疑問手には違いない感じ。スピニングワールドやソヴィエトスターでさえかつかつ重賞級を出すのがやっとというNureyev系受難の近年日本の傾向を鑑みるに、コンゴウリキシオークラスが、ストラヴィンスキーが日本で送り出せる最高レベルの産駒のような気がします。現在3連勝中のタイキラファエロは期待できる馬だと思いますけど、一気に重賞レベルまでぶっこ抜けるかというとちょっと疑問ですし。


▼ちなみに牧場研修生のテキトーな日々。:金剛力士王の父 - livedoor Blog(ブログ)によると、バゴが10億ちょっと、ストラヴィンスキーはその半額ぐらいではという予測。うーん、値段に見合う活躍が日本で出来るとはちょっと思えないかも。


▼もし合わせて15億あったら、自分なら何を買ってくるかな。相手が手放すかどうかは別にして、欲しい(日本で成功する)と思う近年の欧州馬は、

  • Oratorio(父デインヒル、エクリプスS・愛チャンピオンSなど)
  • Hawk Wing(父Woodman、エクリプスS・ロッキンジSなど)
  • Rakti(父Polish Precedent、伊ダービー・英チャンピオンS・クイーンエリザベス2世Sなど)
  • Oasis Dream(父Green Desert、ミドルパークS・ジュライC・ナンソープS)


あたり。あとStarcraftとかも、さっき難ありとしたNureyev系ということを忘れて日本に来て欲しいです。15億あれば、このうち2頭ぐらいは買えないでしょうか。


▼北米方面だと、故障は残念でしたが、岡田総帥が(単独ではありませんが)買ってきたロージズインメイRoses In Mayなんかは、目の付け所がいいなと思った1頭。そういえば、シルヴァーチャームは導入賛成派でしたし、JRAがいつも外してばっかりというわけではないんですけど、今回は・・・・・・ね。
 次アメリカからなんか買うならStreet Cryを是非。


▼それにしても、海外から闇雲にネームバリューだけの馬を導入するより、少々無駄弾やバラマキが発生しても、国内の活躍馬で血統的に種牡馬需要が低い馬、あるいは競走成績が足りず普通なら種牡馬入りは難しそうな素質馬・血統馬を、買い上げから配合相手の募集まで含めて組織的に保護するほうが、余程お金の使い方としては有意義でしょうに・・・・・・。産駒に買い手がつかなければ抽選馬にすればいいし、それである程度機会を与えてダメならそのまま功労馬化すればいいし。内国産零細血統の保護は、馬産地救済のみならず、ファンサービスとしても十分機能する良策(具体的な手法については議論があるにしても)だと思うんですが。