馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

一口馬主クラブ別営業手数料・JRA源泉税帰属先・補償率一覧(ほぼ完全版)

とあるエスポ君ドバイ回避の陰謀論 - 馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)でおまけにつけた表が、案外他では見られない感じで、そもそも自分で結構役に立ったので、ついでに未入会のクラブも含めた(ほぼ)完全版を作ってみました。

  • 2009年度募集時の各クラブ規約(直リンクURLを後述)を元に作成。
  • ブルーマネジメントはウェブ上での規約文面が見つけられなかったので保留。
  • 事実誤認がある場合は是非ご一報下さい。
  • 表にある項目以外の要素(消費税の扱い、毎月の最低振込み額・例えばエプソムなら1万円未満はプール、等)はここでは割愛しています。
  • 基本的に下に行くほど条件が悪い、という並びになっていますが、判断基準は筆者のフィーリングです(えー)。青字(良い)、赤字(悪い)の色つけ判断も同様。
  • 一部存在を無視しているクラブがあるのは仕様です。


クラブ法人
営業手数料
通常 優勝 重賞 重賞
優勝
祝儀・祝賀費用 優勝賞品 JRA源泉所得税 補償
(不出走)
補償
(未勝利)
キャロット 3% 3% 3% 3% 10% G1優勝時 上限 会員 会員帰属(立替支払) 50% 40%
社台・サンデー 3% 3% 3% 3% 10% G1優勝時 上限 会員 会員帰属(年次分配) 50% 40%
越えられない壁 
 ユニオン※3 3% 4% 3% 4% 10% 祝賀会開催時 上限 会員  会員帰属(年次分配)  60% 40%
 ターファイト 3% 3% 3% 3%  10% 重賞優勝時 上限 会員 会員帰属(引退精算) 60% 40%
 ローレル 3% 3% 3% 3% 20% 祝賀会開催時 上限 クラブ 会員帰属(立替支払) 60% 40%
グリーン 3% 5% 3% 5% 20% 重賞優勝時 上限 クラブ 会員帰属(年次分配) 60% 50%
シルク  5% 5% 5% 5% クラブ 会員帰属(立替支払) 75% 55%
 東京 5% 5% 5% 5% 10% G1優勝時 上限 クラブ 会員帰属(年次分配) 50% 40%
タイキ  5% 5% 5% 5% 10%

5% 
G1優勝時

G2・G3優勝時
一律 クラブ  会員帰属(年次分配)  70% 50%
JRA源泉所得税or補償率、究極の選択
広尾 5% 5% 5% 5% 10% 重賞優勝時 上限 クラブ 会員帰属(年次分配) 30% 20%
JRA源泉所得税帰属先の壁
ラフィアン 2% 2% 4% 4% 10% G1優勝時 上限 会員 クラブ帰属 70%※1 60%
セゾン 3% 3% 3% 3% 10% G1優勝時 上限 会員 クラブ帰属 60% 50%
ロード 3% 4% 3% 4% 20% G1優勝時 上限 クラブ クラブ帰属 60% 40%
 エプソム 5% 5% 5% 5% 10% G1優勝時 上限 クラブ クラブ帰属 60% 50%
ウイン 5% 6% 5% 6% 10% 重賞優勝時 上限 クラブ クラブ帰属 60% 40%
事象の地平面(異次元)
友駿 5% 5% 5% 15% 10万円 優勝時※2 一律 クラブ クラブ帰属 20%

or

代替馬
20%

or

代替馬
(不明・調査中) 
 ブルー 5% 5% 5% 5%              

  • ※1 未入厩の場合は80%
  • ※2 優勝時の祝儀(1%相当)と祝賀会開催費用(上限10%)は、維持費出資金として算定
  • ※3 (会員向け)祝賀会は無し?


▼ちなみに、前回のエントリでは無視しましたが、

りろんち 2010/03/03 00:34
こんなのもありますね→http://h58.cool.coocan.jp/blog/blog/sim.php

今更わからなくなったが、どうしてJRA源泉って還付されるんでしたかな?

http://d.hatena.ne.jp/Southend/20100301/p1#c1267544077

と、多くの人(自分含む)がよくわからないところである「JRA源泉所得税」の扱いについて。
 現段階では、JRAからクラブ法人へ支払われる賞金から控除される源泉徴収税について、(法人税に充当した上で)会員に還付するかしないか、ではっきり見解が分かれてしまっています。これに関しては、クラブに帰属するとして処理しているクラブ(自分の入会クラブならラフィアンやロード等)の説明では、

  • 所轄税務署の判断・指導に準じる

というものですが、一方シルクの説明によれば

税務について法律を遵守し、法律に従って支払うことは当然とし、その上でファンドの構成として源泉税の支払いと還付をそれぞれの対象者で完結させ、会員様に影響を及ぼさないようする

http://www.silk-hc.co.jp/tobemember/kiyaku.pdf

ことも可能だ、としています。これはどういうことか。
 ここからは僕なりの判断と言うか理解なんですが、

  1. JRAの「名義貸しは認めない」という前提を守りつつ所謂「一口馬主」活動を行うにあたり、「クラブ法人」と「会員」の間に立つ「愛馬会法人」という存在を設定し、ファンドというスキームを採ることで大義名分を得た(大前提)
  2. 形式上そうした経由点を経てはいるものの、JRAから支払われる賞金は、実質的には(営業手数料なるものは抜かれつつも)クラブ法人から会員までそのまま還流(パススルー)されている
  3. しかし、例えばクラブ法人が税務署に対して「JRAから支払われる賞金の源泉徴収分は何人に帰属するか」と質問すれば、形式(法律・税制)上は「それは直接賞金を受け取り、源泉徴収されているクラブ法人である」と回答があるのは当然である(一見すれば一連の流れのようでも、法律上はそれぞれ断絶・独立したお金の流れであるため)
  4. しかし、還付対象者であるクラブ法人が、「実質的なお金の出所である出資会員に対して、還付された源泉徴収税分を補填する」という判断を行った場合、それを押し止める法的根拠もまたない
  5. よって、クラブによって対応が分かれることになる

という感じではないかと漠然と考えているんですが、いかがでしょうか。
 そのへん専門家のご意見があれば是非拝聴したいところですが、とりあえず僕としては、

  • JRA源泉を「法律的にクラブ法人帰属だ」と主張して譲らないクラブは、言ってみれば「拾ったお金の2割(遺失物法が定める限度額)の謝礼をしっかり要求する人」、逆に会員に還付しているクラブは「お礼なんて要りませんとそのまま立ち去る人」

みたいなものではないかな、と把握しています。まぁあくまで物の喩えですが。
 ……そう考えると、今の僕はかなり入るクラブを間違えていることになりますね……。ロードやウインなんかは、間違いなく下から数えた方が早い条件なわけですし。まぁ、お金だけで決まるわけではありませんが、少なくともJRA源泉は賞金の8%程度を占める(ことが多い)わけですから、営業手数料の2〜3%の差より余程大きいわけですし。


▼他にも情報提供力そもそもの募集馬の価格・質といった要因がクラブライフの快適さを大きく左右しますから、この表がそのまま(恨)ミシュランガイドになるとは思っていません。しかし、例えば表の上のほうに牧場系クラブが、下のほうにバイヤー系クラブが固まったことからもわかるように、どうしても「JRA源泉の扱い」の違いは特徴的で、大きく区分せざるをえない雰囲気でしたし、そこでなんとなく感じ取れることはあるのかな、という気もします。
 これを二択と考えるなら「量販店かブランドショップか」となるんでしょうけど、表の中の“越えられない壁”の上2(社台とサンデーを分ければ3)クラブに関しては、「ブランド力ある商品を揃えつつ、流通コストは低い」という点で、他クラブとは一線を画していると判断せざるをえません。格差社会ですなぁ。


▼以上、この辺は、税制が変わった際に界隈では散々語り尽くされたところでしょうし、今更という向きも多くおられることでしょうけど、少なくとも僕自身は今だになんとなくで済ましている部分ですし、一口馬主でない方にとっては全くイメージできないところではないかと思いますので、その辺をフォローするためのエントリということでひとつ。
 繰り返しになりますが、識者のフォローやツッコミ大歓迎。必要があれば随時修正していきます。