馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

とあるエスポ君ドバイ回避の陰謀論

▼座りの悪いタイトルですいません。ルビを振るなら「マネーモンガー」あたりでしょうか。と、先に書いておきますが、この件に関する自分の判断は「当事者ではないのでなんとも言えない」です。いっつも当事者でもないのにいっちょかみなこと言ってるやないか、というツッコミについてはスルーの方向で(えー)。


▼とりあえず、表向きの(とか書くといかにも裏がありそうですが、単なる修辞です)理由はこういうものです。

オーナーサイドの要請によるもので、遠征による体調管理面や今回が初となるオールウェザーコース開催へのリスクを考慮してのものとされる。

競馬予想・情報サイト UMAJIN.net

それはそれで納得できない理由ではなく、ただなんとなく歯切れの悪い物言いだな、という印象を受けるぐらい。
 本来ならこのまま「ふーん、まぁ来年もあるしね」で終わっていたところだったんですが……なんとなく検索してて引っかかった2ちゃんのスレを見て、目を疑いました。

5 :名無しさん@実況で競馬板アウト:2010/02/26(金) 10:23:10 ID:6PhSONPK0
629 名無しさん@実況で競馬板アウト sage 2010/02/25(木) 13:20:35 ID:qb/bxemh0
賞金におけるクラブ取り分(営業手数料)
・友駿 原則5% 【ただし重賞勝利時は15%!!!】

(参考)
・社台・サンデー 一律3%
・キャロット 一律3%
ラフィアン 原則2% (重賞のみ4%)
(※太字化は引用者による)

じ、15%……。許す許さんの話なのかね、と素朴な疑問を抱きつつも、一方で「そりゃあクラブを叩く声も上がるわ」と腑にも落ちました(自分もそちら側に与する、という意味ではありません)。ピンと来ない人もおられるかもしれませんが、個人的にはこれは尋常じゃないと思います。本当かと思って規約を二度見してしまったほど。


 ……といっても、実は数字の上は、例えばグリーン・広尾・ウインあたりも重賞勝ちで(通常手数料に加え)10〜20%までの費用負担が求められる可能性があり、字面としてはそう変わりません。
 しかし、友駿と他とで決定的に違うのは、これは未確認情報なのでアレなんですが、友駿は「G1優勝時も(少なくとも出資者が参加できる)祝賀会はナシ」という話が……。確かに規約を読むと、

第4項 クラブ法人営業手数料
 当該項目は、クラブ法人が馬主として日本中央競馬会等から支払われた賞金から、当該賞金の5%の額をクラブ法人営業手数料として控除します。
 ただし、当該出資馬が重賞競走で優勝した場合に限り、日本中央競馬会等から支払われた賞金から、当該賞金の15%の額をクラブ法人営業手数料として控除します。

http://www.yusyun-hc.co.jp/info/kiyaku.html

ということで、あくまで“営業手数料”の名目なんですよね。と、それだけでは分かりにくいと思いますので、ひとつウインの規約と比べてみましょう。

(6) クラブ法人特別営業経費
当該項目は、当該出資馬が重賞レースに出走して優勝した際に、所属厩舎に対して支払う祝儀等を、当該競走により取得した賞金の6%相当額を超えない範囲で控除します。
(中略)
(9) 愛馬会法人特別営業経費
当該項目は、当該出資馬が重賞レースに出走して優勝した際に行った祝賀会に掛かる費用等を、当該競走により取得した賞金の4%相当額を超えない範囲で控除します。

http://www.win-rc.co.jp/invest_rules.php

おわかりでしょうか。ウインの場合はあくまで“祝儀等”“祝賀会に掛かる費用等”と用途を限定し、なおかつ“超えない範囲で”つまり実費(とみなされた額)のみ徴収ということになります。
 ちなみに自分の経験では、ブルーメンブラットマイルCS優勝時は、通常のクラブ手数料3%=1口当たり約8600円と、別途祝賀会費用=1口当たり10780円、つまり合計で7%程度の負担で済みました(僕が忘れてるだけかもしれませんので、出資されてた方はご指摘いただければこれ幸い)。なので、他のクラブに関してもそこまで取られることはないんじゃないか(特に非G1の場合)と思っているんですが、さてどうでしょう。広尾のステラリード@函館2歳Sは10%丸々取られたらしいという専らの噂ですが、まぁあそこは色々アレなので。グリーンのジュエルオブナイルとかどうだったんでしょう。
 一方、もし友駿が祝賀会とか、あと重賞勝ちの時の記念品が無い(もしくはショボイ)のであれば、余分に取っていってる10%はほぼクラブ取り分ってことでしょうか?(関係者へのご祝儀ぐらいは出してると思いますが、相場は1%程度と聞いたことがあります)
 これ、もし事実だとしたら恐ろしいなぁ……。この辺も事情をご存知の方がいらっしゃったら是非ご教授ください。


▼で、「だからなんでエスポワールシチーのドバイ回避理由が表向きのそれとは違うんじゃないか、という話になるんだ?」という向きには、「お察し下さい」ということでひとつ。ただまぁ実情は、タップだのキョウトシチーだので懲りた、という単純な話なのかもしれませんし、そもそもドバイに行ったところで勝負にならないとか故障するとかいう保証はないわけで、あくまで「馬主がリスクとリターンを天秤に掛けた結果の判断だ、としか言えない」ことは明記しておきます。
 しかしそれを抜きにしても、15%は衝撃だなぁ……というのは率直な感想。あと、

クラブ法人馬主だからいろいろと難しい事情はあるのだろうが、競馬ファンとしては残念のひと言。


 長年の相棒である佐藤哲騎手も同じ気持ちだ。「ねえ。どう思う? エスポのドバイって見たくない。オレ、もし乗り替われっていわれても構わないから、あの馬の走る姿をファンに見せたかったな」。いかにも“参った”という表情で哲ちゃんは言った。


 JCダートのあと東京大賞典にも川崎記念にも参戦しなかったのは、ドバイを目標に綿密なローテーションを組んでいたため。それだけにもったいない。

http://www.zakzak.co.jp/race/horse/news/20100226/hrs1002261420002-n2.htm

という感じで、厩舎陣営との意志のすり合わせが上手くいっていなかったようなのは、はっきりと馬主サイドの落ち度と言ってしまって良いのではないかな、ぐらいは(一口馬主ではなく一競馬ファンとして)思います。



▼もののついでに、各クラブ(自分の入会している8クラブ+友駿)の状況を表にしてみます。一応規約を読みながら作成しましたが、もし間違いを発見された方はご指摘いただけると助かります。

クラブ法人
営業手数料
通常 優勝 重賞 重賞
優勝
祝儀・祝賀費用 優勝賞品 JRA源泉所得税 補償
(不出走)
補償
(未勝利)
キャロット 3% 3% 3% 3% 10% G1優勝時 上限 会員 会員帰属(立替支払) 50% 40%
社台・サンデー 3% 3% 3% 3% 10% G1優勝時 上限 会員 会員帰属(年次分配) 50% 40%
グリーン 3% 5% 3% 5% 20% 重賞優勝時 上限 クラブ 会員帰属(年次分配) 60% 50%
社台系と非社台系の越えられない壁(JRA源泉所得税帰属先の壁)
ラフィアン 2% 2% 4% 4% 10% G1優勝時 上限 会員 クラブ帰属 70%※1 60%
セゾン 3% 3% 3% 3% 10% G1優勝時 上限 会員 クラブ帰属 60% 50%
ロード 3% 4% 3% 4% 20% G1優勝時 上限 クラブ クラブ帰属 60% 40%
バイヤー系の限界(JRA源泉所得税or補償率、究極の選択)
広尾 5% 5% 5% 5% 10% 重賞優勝時 上限 クラブ 会員帰属(年次分配) 30% 20%
ウイン 5% 6% 5% 6% 10% 重賞優勝時 上限 クラブ クラブ帰属 60% 40%
事象の地平面(異次元)
友駿 5% 5% 5% 15% 10万円 優勝時※2 一律 クラブ クラブ帰属 20%

or

代替馬
20%

or

代替馬
※1 未入厩の場合は80%

※2 (会員向け)祝賀会は無し?


▼友駿といえば代替馬制度(参考:サービス提供終了のお知らせ)が有名な独自色ですが、優勝時一律10万円のご祝儀、というのもこれまた特異ですね。10万円ぐらい気持ちよくあげちゃえ、という気になってしまいそうですが、冷静に考えれば未勝利勝ちなら本賞金500万円、2割もってかれて400万円、そこから10万円だとクラブ手数料換算で2.5%ですから実は案外小さくない罠。ま、500分の1だと1口当たり200円なんで、誰も気にしてないところかもしれませんけど。しかし、重賞勝利時のご祝儀もこの10万円でまかなってるとしたら……と、さすがにそれはないと思いますが。
 ちなみに代替馬制度については、自分で馬を選びたい僕にとってはあまり有り難い制度ではありませんので、実質20%の補償と考えると広尾以下という評価になってしまいます。というか、そもそも代替馬となる幼駒の仕入れってどんな感じなんでしょうね……。サンディエゴシチーなんかは代替専用馬だったらしく、当たりもちゃんと入っているよ、という考え方もあるでしょうけど、やっぱり(基本的には)選べないのは残念ですし、そもそも対象外の会員さんからすれば「普通に募集してくれれば……」ってなもんでしょう。


▼あと、「JRA源泉が会員帰属かどうか」はかなり大きいので、広尾をこのポジションにするのは恣意的かな、とも思ったんですが、やはりぶっちぎりで低い補償率とバーターになっちゃうかな、と判断。この辺は評価の分かれるところでしょうけど、その他も含めて個人的な区分けである、ということでひとつご理解下さい。


▼クラブ手数料の1%程度の違いで何を……という考え方もあるでしょうけど、例えば自分の場合、2009年のラフィアン出資馬が獲得した本賞金は6129万円。計算してみると、もしラフィアンの手数料が1%違えば、

  • 6129万円*0.8*0.01/100=4903円

ということで、年間でこれだけの差が出ることになります(距離割増手当等を含めればもう少し多くなる)。社台やラフィアンレートで多頭数持ってるような一口廃人にとっては、トータルすると結構な差になる、と。
 結論としては……廃人から脱却すればいいんじゃね? という話でしょうか(苦笑)。それでも一口をやりたいなら、社台でそれなりの馬に出資できるぐらいの経済力や貯金を蓄えつつ、入会までエア出資(選馬)を繰り返して相馬眼を養う、というのが妥当なのかな、と。馬券の延長でいきなり入っちゃうと、余程運かセンスが良い人以外は辛いことが多いんじゃないかと思います。