馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

競馬の話ではありませんが

川淵会長「世紀の失言」=サッカー日本代表監督 - 時事通信社

川淵会長は「オシムって言っちゃったね」と苦笑い。しどろもどろになって会見を中座し、田嶋幸三技術委員長と対応を協議するなど、どたばたが続いた。

▼僕は完全に野球派なので、サッカーについては総じて思い入れも知識も無いし、今回のワールドカップ敗退についても特に感慨はないんですが、こういう脇の甘い人が頭を張ってる組織を軸に回ってる事案が、上手く進むはずもないよなぁとは思います。あと、一人で泣いてた中田ヒデを褒めたり評価したり共感したり感動したりというのがそこかしこで見られますが、それもなんだかなぁと。「勝ちたい気持ちを持っていたのはヒデだけだった」ってそんなわきゃないし、仮に全員が中田のようなメンタリティを持ってたら、チームとして機能しないと思います。ああいうふうに周囲に迎合しない、高い要求をする、そしてチームを引っ張って(引っ張りあげて)行くという態度を貫くのであれば、威厳なり人望なりといったカリスマ性と、実際的な意味でチームをまとめるキャプテンシーが必要だったはず。それらが中田に無いという判断があったからこそ、日本代表のキャプテンは宮本で、その宮本が出られなかった第3戦、宮本が指名した代役は中沢だったんでしょう。そしてこの記事を見れば、その判断は圧倒的に正しいということが分かります。

代表が宿泊しているホテルとは別のホテルの最上階のスイートルームを借りて気分転換の場所にする。長丁場のW杯だけに息抜きには最適だ。

 部屋には中田の大好物であるスナックやパンが大量に用意される。近日中にボン入りする関係者が中田が執行役員を務める東ハトの商品を持参。さらに、デュッセルドルフに期間限定で出店している「nakata・net cafe」からも食料品を持ち込む。

・・・・・・そんな状況で、「中田以外は意識が低い」などと戦前、戦間言われ続ければ、チームとしての士気が地に落ちるのも当然。どちらが悪い、とかそういうレベルの話ではなく、ブラジル戦後ピッチに寝そべって動かない中田に歩み寄るチームメイトがいないその光景は、とりもなおさず中田英寿という選手のチームスポーツ・プレイヤーとしての決定的な欠格を、これ以上無い形で象徴していたように思います。
 野球のワールドベースボールクラシック(WBC)では、宮本(もちろんヤクルトの)がチームの鎹、あるいは精神的支柱として目に見えない部分で非常に大きな役割を果たしました。もし井口(ホワイトソックス)が辞退せず宮本が招集されなければ、換言すればイチローのワントップ体制であれば、あの優勝はなかったかもしれません。それぐらい大きな役割です。個人的には、イチローと中田であれば、前者の方がまだ人格的には陶冶されているとは思いますが、それでも基本的にはこの二人は同じタイプ、孤高のイメージです。牽引役のカリスマ性と、舵取り役のキャプテンシー。チームを統率するにはその双方が不可欠ですが、この二人は圧倒的に後者に欠けます。「あのチームに宮本さんがいなかったら、と思うとぞっとする・・・(略)・・・僕には絶対に真似できない」というイチローのWBCについての発言がありましたが(報道ステーションのインタビュー)、サッカー日本代表には”宮本さん”(奇しくも同姓というのが皮肉ですが)がいなかった、というのも、このグループリーグ敗退の大きな要因だったように思います。ただ、中田英寿という選手に、イチローと比肩しうるだけのカリスマ性があったかどうかという点については、大いに、非常に大いに疑問の残るところですが・・・・・・。



<参考>
中田英寿のブラジル戦後のインタビュー - youtube
【おおまかな文字起こし】

中田:いやぁ、まだまだ足りなかったなというのが実感で、まぁそれ以外は別に。
インタビュアー:ご自身チームの力は最大限発揮できたというふうに感じてらっしゃいますか?
中田:最大限発揮できたかどうかというよりもそれを出したものが現時点での力なので。
イン:この3試合を通じて内容どうあれ、あの、結果勝つとが大事だと言いつづけてきましたけども、勝ち星を挙げることができなかったということについてはどういうふうに感じてらっしゃいますか?
中田:え、え? 話聞いてますか? 今の現時点であったことが自分たちの力なんで。
イン:中田選手にとって今回のワールドカップはどういうワールドカップだったと今思ってらっしゃいますか?
中田:いやまだまだ自分たちの力が足りなかったなと実感したワールドカップだったと・・・・・・思います。
イン:また次の大会もありますけれども。
中田:・・・・・・はい(と答えたあと苦笑あるいは失笑、そしてワンテンポ置き、そのまま踵を返して去る)

そのインタビューについての須田鷹雄さんの感想 - 須田鷹雄の日常・非日常
▼「話聞いてます?」はもちろんのこと、去り際の態度もどうかと。競馬のインタビューでも最近多いですが、「けれども?」「〜が?」のような終助詞での投げかけ、例えば「4コーナー、あまり手応えは良くないように見えましたが?」のような、これについては賛否両論あると思います。インタビューとして丁寧さを欠く、どころか一種の乱暴ささえ含有する問い方なのは確かですから。ただ、「だから?(見えたからなんなんです?)」的な反応は、はっきり言って大人の対応じゃない。「が?」には「それについてあなたはどう感じた・考えたか?」というニュアンスが込められているのは文脈・状況から明らかなのであって、文章起こしを目的としているならともかく、臨場での時間的制約の厳しいインタビューであれば、容認してしかるべきレベルの無作法であると思います。その上で、「4年後(次回)についてはどうだろうか」というインタビュアーの最後の質問内容、これは、「今回」が終わったばかりという状況、そして、中田の年齢ということを考えると、ふさわしくないという考え方もできるでしょう。ただ、ここで「日本代表」として、「日本人」に対して、漠然とでも「次」へのイメージを喚起させるような応答ができないことが、彼が「器じゃねぇ」(『哭きの竜』)ことのなによりの証左ではないかと思います。