馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

下級条件馬に優しい厩舎を探そう。

(長文注意)


<調査概要>
●集計期間:20050101〜20050828
●集計対象:(未勝利戦 OR 500万下)AND NOT初出走
●判断要素:当該レースの前走からの間隔
●対象厩舎:今年の東西中央リーディング上位各3厩舎+独断で選んだ管理手法に特長ある4厩舎を含めた全10厩舎

藤澤和雄厩舎>(関東1位)

  • 集計対象出走数・・・91戦(17勝)
    • 連闘・・・16戦(6勝) 17.6%
    • 中1週・・・17戦(2勝) 18.7%
    • 中9週〜半年・・・12戦(2勝) 13.2%
    • 半年以上・・・7戦(0勝) 7.7%


音無秀孝厩舎>(関西1位)

  • 集計対象出走数・・・74戦(17勝)
    • 連闘・・・1戦(0勝) 1.4%
    • 中1週・・・17戦(3勝) 23.0%
    • 中9週〜半年・・・11戦(1勝) 14.9%
    • 半年以上・・・5戦(2勝) 6.8%


国枝栄厩舎>(関東2位)

  • 集計対象出走数・・・112戦(20勝)
    • 連闘・・・2戦(1勝) 1.8%
    • 中1週・・・12戦(2勝) 10.7%
    • 中9週〜半年・・・22戦(2勝) 19.6%
    • 半年以上・・・6戦(1勝) 5.4%


瀬戸口勉厩舎>(関西2位)

  • 集計対象出走数・・・122戦(16勝)
    • 連闘・・・4戦(0勝) 3.3%
    • 中1週・・・49戦(6勝) 40.2%
    • 中9週〜半年・・・9戦(0勝) 7.4%
    • 半年以上・・・1戦(0勝) 0.8%


尾形充弘厩舎>(関東3位)

  • 集計対象出走数・・・109戦(16勝)
    • 連闘・・・0戦(0勝) 0%
    • 中1週・・・24戦(4勝) 22.0%
    • 中9週〜半年・・・13戦(2勝) 11.9%
    • 半年以上・・・6戦(0勝) 5.5%


山内研二厩舎>(関西3位)

  • 集計対象出走数・・・100戦(18勝)
    • 連闘・・・3戦(0勝) 3%
    • 中1週・・・41戦(8勝) 41%
    • 中9週〜半年・・・17戦(3勝) 17%
    • 半年以上・・・5戦(3勝) 5%


橋口弘次郎厩舎>(参考)

  • 集計対象出走数・・・100戦(14勝)
    • 連闘・・・0戦(0勝) 0%
    • 中1週・・・16戦(3勝) 16%
    • 中9週〜半年・・・8戦(1勝) 8%
    • 半年以上・・・1戦(0勝) 1%


森秀行厩舎>(参考)

  • 集計対象出走数・・・91戦(15勝)
    • 連闘・・・3戦(1勝) 3.3%
    • 中1週・・・6戦(1勝) 6.6%
    • 中9週〜半年・・・13戦(4勝) 14.3%
    • 半年以上・・・3戦(0勝) 3.3%


角居勝彦厩舎>(参考)

  • 集計対象出走数・・・106戦(10勝)
    • 連闘・・・6戦(1勝) 5.7%
    • 中1週・・・35戦(4勝) 33.0%
    • 中9週〜半年・・・24戦(1勝) 14.3%
    • 半年以上・・・4戦(0勝) 3.3%


伊藤雄二厩舎>(参考)

  • 集計対象出走数・・・61戦(12勝)
    • 連闘・・・2戦(0勝) 3.3%
    • 中1週・・・8戦(1勝) 13.1%
    • 中9週〜半年・・・4戦(0勝) 6.6%
    • 半年以上・・・4戦(1勝) 6.6%

<備考:全体の出走数における割合>

  • 連闘・・・約3%
  • 中1週・・・約21%
  • 中9週〜半年・・・約11%
  • 半年以上・・・約4%


▼上記の数字を元に個人的な<下級条件馬に優しい厩舎ランク>を付けてみます。

  1. 橋口弘次郎厩舎(連闘しない、中1週少ない、長期休養も少ない)
  2. 森秀行厩舎(連闘少ない、中1週少ない)
  3. 音無秀孝厩舎(連闘ほとんどしない、中1週控えめ)
  4. 尾形充弘厩舎(連闘しない、中1週控えめ)
  5. 国枝栄厩舎(連闘ほとんどしない、中1週少ない、ただし長期休養が少し多い)
  6. 伊藤雄二厩舎(連闘ほとんどしない、中1週少ない、ていうか出走自体少ない)


 こんな感じで。この辺までは「ソフト」な部類に入る厩舎かと(あくまで独断です)。ちなみに「長期休養が多いと下級条件馬に優しくない」という定義は、長期休養の理由が概ね「大きな怪我」もしくは「所謂”放置”*1」に限られる、という把握に基づいたもの。


▼その他の厩舎ですが、瀬戸口・山内・角居各厩舎は、パブリックイメージ通りかなりイケイケの印象。特に角居厩舎は、センターフレッシュスカイアンドリュウブルーイレヴンデルタブルースハットトリックディアデラノビア、そしてシーザリオと、管理したOP馬のほぼ全てが長期休養を余儀なくされていることから一部でクラッシャーの呼び声も高いわけですが、それをなんとなく裏付ける数字です。


▼で、当ブログが選ぶ、栄えある「最も下級条件馬に優しくない厩舎」(上記10厩舎中)は・・・・・・(ドロドロドロ・・・(ドラムの音)・・・ジャン!)


藤澤和雄厩舎


と認定させていただきます!(パチパチパチ)


 えーっと、理由は、言わずもがなかもしれませんが、連闘(と長期休養)の多さです。特に連闘数は、


<参考・2005年度中央競馬連闘数ランキング(トータル)>

  1. 藤澤和雄厩舎・・・25戦(7勝)
  2. 高橋成忠厩舎・・・24戦(1勝)
  3. 岩元市三厩舎・・・21戦(1勝)


なんと、現時点ではあの高橋”サンコメーテス(もちろんスペインランドやファンドリリヴリアでも可)”成忠御大を抑えてトップです!(再びパチパチパチ)


▼というわけで、これが今の「馬優先主義」の実態です。Are you happy horse?




(後記)
▼えー、これがhttp://blog.goo.ne.jp/fujisawa-happyhorses/e/2e6d1e18429b5661e7db26af7854af41に触発されて書いたエントリであることは、一応正直に自白明記しておきます。
 ただ、フォローと言うわけではないですが。

「オープンまでの器ではないけど、息の長い競馬をさせたい」
「難しいところがあって、どこも引き受けてくれないけど
預ってくれない?」
「内向だから使えないかもしれないけど、お願いしたい」
「思い入れのある血統だからなんとかして走らせたい」
こういう依頼は何とかしたい、という思いにさせられる。


 2004年産のキャロットクラブの募集馬の中に、藤澤厩舎預託予定の馬が複数頭いますが、そのうちの1頭は前肢に外向があるそうです。他のいくつかの自分が知るケースも考慮すれば、(意図的かどうかは知る由もありませんが)所謂”難しいところがある馬”をそれなりに預かっている厩舎であることは間違いないところだと思います。また、息の長い競馬、という表現には違和感があるにせよ、登録抹消の時期が総じて遅い厩舎なのも認めるにやぶさかではありません。
 根本的かつ最大の問題は・・・・・・頭数預かりすぎだっての。


<参考・管理頭数(20050901現在)>

  • 藤澤厩舎・・・61頭(4頭)
  • 国枝厩舎・・・59頭(16頭)
  • 森厩舎・・・58頭(3頭)
  • 橋口厩舎・・・51頭(18頭)
  • 山内厩舎・・・50頭(17頭)
  • 伊藤雄厩舎・・・47頭(9頭)
  • 尾形厩舎・・・46頭(14頭)
  • 角居厩舎・・・46頭(14頭)
  • 音無厩舎・・・45頭(8頭)
  • 瀬戸口厩舎・・・40頭(12頭)

※括弧内は2歳馬頭数。一流厩舎の世代あたりの預託数が一桁ということはありえない、というのはお分かりいただけるかと思います。そこでこの数字を見ると、藤澤厩舎と森厩舎の管理頭数がいかに過剰かがご理解いただけるかと。

また一口馬主クラブも未だに大きな支えだ。数十口から
数百口のクラブと多種多様だが、競馬を両面から支えて
くれる大事なファン。今後も大切にしなければならいない。


 ・・・・・・ホント、お願いしますよ。


(おまけ)
▼瀬戸口・山内・角居厩舎の数字から、「くりげ日記」さんのこのエントリにある「関西の中1週使い」というトレンドがなんとなく見て取れます。そんな中、森師の数字が異様に中間域に偏っているのは、競馬に使う→すぐグリーンウッドに放牧→ほどなく帰厩→速いところ2本やって10日そこそこで出走(結果的に中2週以上空く)、というサイクルを徹底しているから。音無師と橋口師も同じグリーンウッドユーザーで同じように中間域に偏っていますが、こちらは厩舎でじっくり型で、預託頭数を絞って無理の無い馬房管理を行っているがゆえの結果。このように数字だけでは見えないこともあるので気をつけなくてはなりません(自戒)。

*1:競馬に使える状態にあると思われる馬を、馬房調整上などの理由(と推測される)で牧場に塩漬けにしておくこと、の俗称。主に一口馬主界で多用される