馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

「Haloクロス」の効果を調べてみた。(第2回・種牡馬別編)

▼……の続きです。そのエントリで説明したようにTARGETを色々いじりまわした結果、

  • 「父母ともにHaloの血を持っている=Haloクロスがある馬」

を抽出することができました。さて、これをどう集計するかですが、まず2歳馬は戦歴データ数が少なく、ノイズになりかねないので除外。個人的には未勝利戦が終わっておらず、古馬とまともに戦っていない3歳馬もこの手の集計からはオミットしたいところなんですが、該当頭数が多い上にヴィクトワールピサダノンシャンティが入ってくるので含めることにします。
 次に、どうやって戦績を出すかですが、ただ「Haloクロスがある」というだけの括りで一括戦歴を出して集計するのも漫然としすぎている気がするので、とりあえず、

  • 種牡馬ごとに、Haloクロスがある産駒の成績と、その種牡馬全体の成績を比較する

ことにしました。本当は「Haloクロスがない産駒」との比較にすべきなんでしょうけど、処理が面倒(えー)なのと、分母の数に大きな差があるのでまぁいいかな、と。
 ちなみに対象となる「Haloクロスを持つ馬」の種牡馬別頭数を出すと、

となりました(未出走馬含む)。これを頭数上位の種牡馬から順に見ていきましょう。

  • データは平地のみ。障害戦は今回に関してはノイズとみなして除いています。
  • 前述の通り現2歳馬も除外。
  • 以下の集計における頭数は、「中央出走頭数」であり、「中央登録頭数」とは異なります。
  • 種牡馬全体」は、この場合「Haloクロスがある産駒が分布している世代の全体」です。
    • 例えば2002年産馬が初年度の種牡馬でも、Haloクロスのある馬が2003〜2006年産にしかいなければ、その枠内でのみ検索。

タイキシャトル(父父Halo)

  • 画像はクリックで拡大しますので、詳細はそちらでご確認下さい。
  • チェック馬マークは自分用に使ってるものなのでお気になさらず。
  • うーん、いきなり微妙な数字。
  • 勝馬率は多少落ちますが、1頭当賞金はクロスありの方が優勢。
  • 牡牝の頭数はほぼ拮抗、成績的にも大きな偏りはなし。

キングヘイロー(母父Halo)

  • 勝馬率はほぼ同等も、1頭当賞金はクロス有りの方が圧倒的に劣勢
  • クロス有りの方はダートを全くこなせていません
    • クロスどうこうより、25頭中14頭が母父サンデー系のため、その影響を受けていると推定。
  • 牝馬が8頭で1勝と平均から比べても劣勢
    • ちなみに中央登録馬全体で見ると、勝馬率も獲得賞金も牝馬は牡馬の3〜4割落ちるというのが目安。

ロージズインメイ(父父父Halo)

  • 現3歳世代のみ。
  • とにかくRIM産駒全体の成績が残念。BRF組が主力でこの勝ち上がり率では。
  • クロスが有る産駒の方が多少劣位にも思えますが、誤差の範囲内かと。
  • 19頭中14頭が母父サンデー系なのに、「クロスが有る馬が芝向き」という傾向は見られず(むしろ微妙にダート寄りか)。
    • というわけなので、キングヘイローの項で触れた「母父サンデー系の影響」説は撤回して保留。
  • やはり牝馬の成績悪し

アグネスタキオン(父父Halo)

  • いよいよサンデー直系種牡馬の登場。
  • 18頭中13頭が牝馬、という謎の偏りが。それを考えればクロスが有る馬の成績は良好と言えそう。
  • ただ、クロス有りの方は、全20勝中ダートで15勝。牝馬中心でこの内訳は不思議。

ダンスインザダーク(父父Halo)

  • クロス有りの馬が勝馬率は優勢
  • しかし、1頭当賞金では逆に劣勢
  • 一番明確な差異は、クロス有りの方が距離適性が短く出ている点。

マンハッタンカフェ(父父Halo)

  • Haloクロス有りの馬が飛び抜けた好成績。
  • 特徴的な詳細を以下に。
    • 16頭中12頭が牡馬。内11頭が勝ち上がり5頭が準オープン以上。
    • 一方牝馬は4頭で1勝と、頭数・成績ともに低位。
    • 16頭中12頭が浦河産。マンカフェ全体で見ると浦河産馬率は25%弱なので、なんらかの作為があるのかも。
      • 牝馬率の異様な低さ、メイショウのワン・ツー・スリーというのもそれに準じる偏りかも。

フジキセキ(父父Halo)

  • ダノンシャンティを輩出。ちなみにHaloの3×3。
  • 牝駒優位の種牡馬ということを考えれば、クロス有りの馬は牝馬の成績が一息と言えそう。
    • ちなみに16頭中牝馬は6頭。
  • 距離適性は全体に比べて短め

スペシャルウィーク(父父Halo)

  • Haloクロスがある馬が明確に劣勢。
  • 牝馬の活躍馬が多い種牡馬ながら、クロスがある馬に関しては牝馬の成績不良。
    • ちなみに頭数は16頭中牡8頭・牝8頭と均衡。
  • 距離適性が短めに出ている様子。

ムーンバラッド(父母父Halo)

  • 全体的に言って、ロージズインメイがまだマシ思えるほどの大失敗種牡馬
  • クロスがあろうがなかろうが……というデータなのでなんとも。
    • 強いて言えば、クロスがある馬のほうが気持ち芝向きに出ているかな、程度。
    • クロスが有る牝馬は5頭いて勝ち鞍なし。

バゴ(母母母父Halo)

  • 現3歳世代しかいませんが、なんというか、比較しても特筆すべき点の乏しい成績。
  • 強いて言えば、距離適性はクロスが有る馬の方が長めに出ています。
  • 53頭中13頭にHaloクロスがある(うち10頭がサンデー系繁殖牝馬との配合)のは、割合として高め。

ネオユニヴァース(父父Halo)

  • ヴィクトワールピサ(3×4)とロジユニヴァース(3×5)が該当。
  • この2頭がクロス有りクラスタの賞金平均を劇的に引き上げていますが、全体の勝ち上がり率は微妙
  • 対象12頭中なんと牝馬が9頭。そして成績は低調。もう少し牡馬のデータが見たいところ。

アドマイヤベガ(父父Halo)

  • なんというか、クロス有りの馬が惨憺たる成績。
    • というかソニンク産駒の姉妹2頭しか勝っていません
    • 結果、平均勝利・連対距離の数値が面白いことに

Fusaichi Pegasus(母母父Halo)

  • 対象馬10頭以上をひとつの基準にしようかと思ったんですが、特徴的なデータだったので紹介。
  • 勝馬率はほぼ同等も、1頭当賞金はクロス有りの方が断然優位。
  • クロス有りの方は芝での実績がほぼ皆無。全体的にダート向き種牡馬なのは間違いないとしても、極端な数字。
  • 全体の7割弱がマル外なのに対し、クロス持ちは8頭中5頭が持ち込み。
    • ちなみに持ち込み産駒全体(27頭)を調べると、勝馬率55.6%、1頭当賞金2,432万円と優秀。

▼……と、これではイマイチわかりづらいので、上記内容の要点を一覧にしてみます。

  • 強調する基準は、全体の数字からおおよそ1割以上逸脱しているかどうかを見ています。
  • 牝馬適性や芝適性も、あくまで種牡馬全体の数字に比してどうか」という点で判断しています。

頭数 勝馬 1頭当賞金 その他クロス馬特徴
種牡馬 全体 クロス 全体 クロス 全体 クロス 牝馬 芝適性 距離適性
タイキシャトル 593 49 8.3% 42.2% 38.8% 1418 1481
キングヘイロー 288 25 8.7% 33.3% 36.0% 1234 796 ×
ロージズインメイ 91 19 20.9% 31.9% 26.3% 479 443 ×
アグネスタキオン 578 18 3.1% 48.8% 55.6% 1907 1840 ×
ダンスインザダーク 1041 17 1.6% 34.7% 41.2% 1468 1232 × 短い
マンハッタンカフェ 457 16 3.5% 38.7% 68.8% 1412 3817 ×
フジキセキ 733 16 2.2% 41.9% 50.0% 1762 2239 短い
スペシャルウィーク 598 16 2.7% 41.6% 31.3% 1421 725 × 短い
ムーンバラッド 112 14 12.5% 23.2% 14.3% 409 374 × 長い
バゴ 53 13 24.5% 37.7% 30.8% 630 521 長い
ネオユニヴァース 259 12 4.6% 31.3% 25.0% 982 4567 ×
アドマイヤベガ 345 11 3.2% 29.9% 18.2% 1654 1034 短い
Fusaichi Pegasus 85 8 9.4% 47.1% 50.0% 1919 3311 ×
さて、いかがでしょうか。個人的な感想は、

「見事に統一性が<ない>」

というものです。強いて言えば、

  • クロスがあると牝馬の成績が落ちる傾向があるかもしれない
  • 距離適性は、多少短めに出ることが多いかもしれない

という印象は受けましたが、「そうは出なかった種牡馬」もあるだけに、Haloクロスがあったからどうこうと結論づけるのは難しい印象。


▼ただまぁ、これだけで終わってしまうのは個人的にも面白くないので、もう少し色々と調べてみましょう。長くなったので、また続きます。