馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

2013年AJCC裁決に抗議し、当面の間更新停止します。

▼馬券購入も同様にボイコット突入。好きにしろよ、という話ですが、まぁ一応。

 大野は「着順は(不利がなければ)入れ替わっていたでしょ」と憤慨。多くの騎手からも「これではやり得だ」「こんな新ルールはやめようよ」といった不満の声が上がるなか、萩原師と鞍上は、1着馬の降着を求める異議申し立てを行った。これを受けて審議のランプが点灯されたが、JRAは申し立てを棄却。到達順位の通りに確定した。

【AJCC】バラード勝利も後味悪く…/競馬・レース/デイリースポーツ online

直線で前に入られて完全に勢いを殺されてしまいましたからね。止まったのと同じです。そこからもう一度脚を使って詰め寄っているだけに、不利がなければ何とかなっていたと思います。残念なレースになってしまいました。
競馬ブック誌より・レース後騎手コメント

《2013年からのルール》
降着 ・・・ 入線した馬について、「その走行妨害がなければ被害馬が加害馬に先着していた」と裁決委員が判断した場合、加害馬は被害馬の後ろに降着
失格 ・・・ 極めて悪質で他の騎手や馬に対する危険な行為によって、競走に重大な支障を生じさせたと裁決委員が判断した場合、加害馬は失格


《2013年からのルール》
5位までに入線した馬の着順に変更の可能性がある場合に点灯

降着・失格のルール

▼この改正ルールを初めて読んだ時、僕は実は「メリットの有る改正ではある」と判断しました。理由は、

    • 被害馬と加害馬に明らかな脚色ないし実力の差が「ある」場合に、加害馬陣営が過度な懲罰としての降着を回避しうる

からです。また、被害馬騎手の大袈裟な(シミュレーション的な)アピールの無効化、そして「被害を受けた後に脚があるにもかかわらずそこでレースをやめてしまう」ことへの抑止力としても機能しうる、とも感じました。
 しかし、

今回、トランスワープの大野騎手は不利を受けたあとも追いこんでいるものの、「不利がなくても、加害馬に明らかに先着していたとは絶対的に言えない」との判断から、着順は変わりませんでした。裁決委員の「わからない可能性が数%でもある場合は着順を変えない」という言葉が印象的でした。

https://twitter.com/Motojiko/status/292927359949082625

この裁決委員の言葉が事実だとすれば、少なくとも自分の求める「公正競馬」の要件は満たされませんし、今回の改正で重視された「優勝劣敗」の原則さえ、一周してないがしろにされかねません。上位入線馬について誰の目にも明らかな進路妨害があり、かつそれを踏まえた上で「フラットな状況であれば加害馬が被害馬に先着できたかどうかすぐには判断できない」場合であれば、現行のルール上であっても最低でも審議が必要でしょう。そこから先は判断の分かれるところだと思いますが、個人的には「判断に迷うようなケースは被害馬に有利な裁定を行う」のが、公正(あくまで自分尺度の、ですが)かつ優勝劣敗の原則にもかなう運用だと考えます。


▼新しい降着ルールが「その走行妨害がなければ被害馬が加害馬に<100%>先着していた」(強調部引用者による補足)場合に適用される、という極端なものである……とは理解していなかった自分の誤読には恥じ入るばかりです。ただ、実際に今回のAJCCのようなケースを目の当たりにして、なおかつ一口とはいえ自分が被害馬サイドに立ってみて、「これではやっていられない」と強く感じたのもまた個人的な真実。またそういったことから離れて、このレースのパトロールビデオとゴール前のトランスワープの脚色を見て、それでも「こんなの絶対おかしいよ」と思わないなんて絶対おかしいよ、とさえ思います(※個人の感想です)。
 このルールと今回の運用を是とする向きも相当数いらっしゃるでしょう。また、そもそも興味が無い、という層のほうが全体を見渡せば多数派なのかもしれません。よって今回の抗議は、極めて私的な、ある種のポジショントークと言っても差し支えないものであり、皆さんの理解や共感を得たい、また反論を待って議論を深めたい、という意図はないことを付け加えさせて頂きます。


<参考>

▼危惧がすぐに現実のものとなった形。あと私見ですが、ガトーさんの言う”ラフプレーが社台グループのような大オーナーから称賛されることで、結果的にジョッキーが危険な騎乗を強いられはしないか”という懸念は、もっと深く考慮されて然るべきだと考えます。中には陰謀論の類として一蹴したり、馬主をいまだに貴族や旦那筋になぞらえるような向きもありそうですが、現代競馬においてオーナーという存在が極めて重要な位置にあり、ある意味では騎手や調教師以上に「プレイヤー」である事実から目を背けるのはナンセンスでしょう。

▼内容は勿論のこと(自分がトランスワープの出資者であることを離れれば、今回の件については殿下の把握が近いです)、写真の説得力たるや。


▼いつまで更新停止するかは不明ですが、そもそも私生活が競馬どころではなくなっているという状況において、これがよいきっかけだったという面も正直ありますので、このままフェードアウトというのもアリかなと思ったり思わなかったり。