馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

藤澤厩舎管理馬、「また」肺出血。

【10月3日】
 美浦トレセン在厩。帰厩後の1本目としては上々のタイムともいえる、坂路にて52秒台をマークしましたが、上がりで鼻出血を確認。開業医、トレセン診療所いずれも、肺出血を起因とするものであるとの診断が下ったことから、数日ほどトレセンにて経過を窺ったうえで、ミホ分場へ放牧に出ることになりました。
「鼻の裂傷ではなく、肺からくる出血ということで、慎重な管理が必要となります。帰厩後の初日ですから、当然のこと無理をさせたわけではないのですが…。脚元はスッキリとしており、復帰に向けての手ごたえを掴み始めていた矢先の出来事。休養が長引き、ようやく戻ってきた直後のアクシデントでもあり、非常に残念でなりません。能力の低下を引き起こすケースも多くみられる症状ゆえ、目下は安静にして様子を見守り、獣医師の見解や進言に耳を傾けるしかない状況です」(藤澤調教師)
広尾TC公式より

<関連1>
(メテオグローリー)ガッカリ…… - きりたのホビーナデイズ。

 肺出血は習慣性(再発性)のある病気で、鼻呼吸で酸素を取り入れる競走馬にとっては致命的な病気。今回の出血の程度は、現状では分かりません。軽度であれば、再発しないこともあるようですが、重度であれば、長期の休養を要する上、再発の度合いも高く、多くの馬が引退に追い込まれています。

<関連2>
藤澤厩舎の調教状況について、自分用備忘録 - 馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)

年明けから、カーティスクリーク、ウインラディウス、そしてバントラインと、藤澤厩舎所属のクラブ馬が、3頭立て続けに鼻出血が原因で現役引退を余儀なくされた。

▼メテオグローリーが帰厩翌日の調教後、肺由来の鼻出血を発症。もう僕はこの厩舎に関することについてはとことん無感動になっているので、ただ馬がかわいそうだと思うだけです。とりあえず、きりたさんのご解説と、自分が以前挙げたエントリを併記しておきます。


▼ちなみにメテオの広尾TCの更新情報では、“帰厩後の1本目としては上々のタイムともいえる、坂路にて52秒台をマーク”と書いてますが、これ、説明不足なんじゃないでしょうか。メテオの当日の坂路時計は、

  • 1本目・・・10/3 8:49 62.7 - 47.5 - 32.2 - 16.2
  • 2本目・・・10/3 9:03 52.3 - 39.2 - 26.9 - 14.3

というもの。15-15より大きいところは本数と数えないのが不文律だとは思いますが、4Fトータル62.7秒なら平均ラップは約15.7秒です。多くの厩舎は、本追い切りの前のスクーリング的登坂はせいぜい17-17程度までにとどめておくもの。
 もちろんそうでない厩舎(大久保洋・高橋裕・清水美・尾形など)も坂路の負荷が小さい美浦の場合は少なくありませんが、それもある程度仕上がってきた馬や、レースを使ってきている馬に対する話。限りなく15-15に近い16-16をやったあとに間髪入れず13-13というのは、牧場で15-15を断続的にやっていた程度の仕上がりだった馬に対し帰厩翌日に課すトレーニングとしては、尋常ではない負荷だと思います。運動生理学的にどうという話ではなく、あくまで他厩舎の手法との比較ですが。
 しかしそれを、“無理をさせたわけではない”って・・・・・・。むしろ、無理をしなくてもこれぐらいの時計が出てしまうレベルの馬だからこそ、その手綱を絞って負荷を調整するのがトレーナーの仕事でしょう。結果論ですって? ええその通り、あなたはすでに目に見える形で3頭もの引退に直結する鼻出血患畜を生じせしめていたのです。しかもここ2年間という短いスパンで。もしこのままメテオが引退に追い込まれ、「これで4頭目ですね」という指摘があったとしたら、あなたはどうお答えになるでしょうか? 結果を出し、出た結果に対して責任を持つのがあなたの仕事なのでは?


▼「藤澤厩舎の“ハード”トレ」というのは、一時期の「馬なりばかりのヌルい調教」という世間的誤解を大分駆逐してきた基本認識かとは思いますが、こういう機会に改めて強調しておくべきなのかもしれません。今回の事故、事実は知らねど、僕の中での主観的真実は、「人災」です。ご判断は、これをお読みの皆様にお任せしますが・・・・・・。