Twitterでの馬体談義まとめました。/ロードのパンフに見る「配合論」について。
▼先日挙げたカツラドライバー'09出資報告エントリに端を発するTwitter上での馬体談義をTogetterでまとめました。率直な感想を言えば、もっと乖離があるかと思っていたのに案外そうでもなかったのが意外といえば意外だった、というあたり。言葉の使い方は独特であっても、実際に(写真だけとはいえ)馬体というマテリアルそのものを見ながらの表現だけに、少なくとも「なんとなく分かった気になる」だけならそう難しいことでもないのかなと思います。
▼同じ日に鞘次郎氏のこんなまとめも上がっていて興味深く読みました。といっても、書いてある事自体はさっぱり分からなかったんですが、それは海外競馬や血統の素養が全くないからであって、例えば
- オルフェーヴル(父ステイゴールド×母父メジロマックイーン×母母父ノーザンテースト)
- ライステラス(父ソングオブウインド×母父スピードワールド×母母父ミスターシービー)
- 母母スピードアイリス、3代母ビューパーダンス
みたいに馴染みのある血統表を題材にやってくれれば、もう少しとっつきやすくなるかもな、と軽くリクエストしてみたり。まぁ本当は、自分の出資馬(特にデビュー前の)を語ってくれたら一番面白いんですけどね(笑)。
あと、一口者としては、例えばパンフコメントを見ると、ラフィアンは当然としても、社台サンデーあたりに関しても馬体解説がメイン、血統背景(同じ牝系の活躍馬や最近のニックス例など)ぐらいには多少触れても、所謂「配合の妙」を指摘するような記述はほとんどない、という要素もあります。もちろん出来上がってきた(そして走る前の)馬への評価なわけですから、即物的になるのはある意味当然なんですが、できれば馬産家をはじめとする「現場の人の血統・配合論」をもっと読んでみたいな、と常々思っています。観測範囲の問題かもしれませんが、馬体論は生産者・調教師なんかのそれを結構目にする機会があるもので。
▼ただ、自分の入っているクラブだと、ロードについてだけはパンフのセールストークにその「配合の妙」を押し出してくるケースもまま見受けられたりします。例えばブライアンズタイム産駒の活躍馬の募集時コメントを見ると、
同配合にG1競走3勝の女傑ファレノプシス。そして、グロースタークのインブリードはタニノギムレット(G1日本ダービー)と共通する。
ファレノプシス、ロードマジェスティと同じ交配も絶妙。そしてグロースターク、ヒズマジェスティの全兄弟クロスを有するのはアンドゥオールと共通する。
BT×ミスタープロスペクター牝馬の相性は群を抜く。ノーリーズン、チョウカイキャロル、フリオーソ、ビッグゴールドは典型。一捻りを加えてトーセンブライト(母父ジェイドロバリー)、ヒラボクロイヤル(父タニノギムレット)と言う訳だ。
という感じで、割とこだわって配合してるのかな(3頭ともケイアイファームの自家生産馬)という雰囲気が伝わってきます。余談ながら、フリオーソやトーセンブライトが引き合いに出されてるレディルージュは、今度久々にダートを使う予定で、この文脈でも楽しみ。
一方、残念ながら結果が出なかった馬のコメントを見てみると、
基本はクラシック正統派。だが5×5クロスの当事者ゼダーンの勝ち鞍は芝900〜1850m。特有の軽快さを備える牝駒に生まれたのも歓迎材料。
- レディブルーム(母レディブラッサム)
配合も不気味だ。母にセクレタリアト、そして父に流れるドローンはサーゲイロード産駒で、さらに5代母シリアンシー。3頭はサムシングロイヤル直仔にあたる。著名繁殖牝馬の近親交配は時に奇跡の遺伝力を引き起こす。我々の想像を絶する怪物が遂に襲来だ。
もちろん結果が出てしまっているからではあるんですが、なんとも味わい深い感じ。ハピネスのコメントに関しては、正直おまじない程度にしか思えない記述で、なんというか牡馬が生まれなかったことへの悔し紛れなんじゃないかというような邪推もしたくなったりします。
ただ、サムシングロイヤル云々については、レディブルームでは空振ったとはいえ、半弟についても
- ロードカナロア(母レディブラッサム)
セクレタリアト、サーゲイロードの母サムシングロイヤル4×5にも警戒が必要。著名繁殖牝馬のインブリードは時に奇跡を起こす。我々の想像を絶する怪物を産む素養は十分だ。
というコメントが付けられていたり。「コピペじゃねーか!!1」という指弾も可能ではありますが、少なくともひとつの信念に基づいて交配相手を決めているらしいことが伺えるのは興味深いところです。ロードの募集馬ツアーに参加すれば、実際に配合を決めている人にこの辺のことを直撃できたりしないんだろうか……と思ったりもしますが、どうなんでしょうか。やっぱり伊佐美氏やそのパパあたりが直接決めてるんだろうか。
▼ちなみに募集中の馬だと、レディルージュの半妹(父ダイワメジャー)のコメントに、
ダノンシャンティがヘイロー3×3内蔵。ヴィクトワールピサ、ロジユニヴァースも同クロスを有する。最新モードを行く血統。
http://www.lord-to.co.jp/pdf/0907.pdf
という記述があってグラっと来ました(笑)。インブリードは抜きにしても、結構いい馬なんですよねこれが……。ルージュがオープンまで行くようならご祝儀で追加しちゃうかもしれません。まぁ、ルージュと同じBT産駒で安田隆行厩舎のアンビナウン'09も同じかそれ以上に魅力なんですが。
▼ロードの最近の好調ぶりは界隈の方でも知る人ぞ知るという感じかもしれませんが、実際データを見てもかなりの勢いで募集馬(特にケイアイファームの自家生産馬)が走ってます。一方、日高のセリで「安くていい馬」を買ってくる中村畜産的手法も継続中で、個人的にもロードアイアンやハリアーあたりが勝ち上がってくれています。明け2歳では総額1,680万円で募集のジョウテンブレーブ産駒なんかが異彩を放ってますね。
かように、「馬喰としての相馬」と「生産者としての血統・配合論」を両輪としていることが、ここのところのロードの快進撃(と言えるほど派手ではありませんが)を支えていたりするのかな……とふと思ったりも。