馬の気持ちはわからない(一口馬主遺産)

『馬の気持ちはわからない(『傍観罪で終身刑』改メ)』(http://d.hatena.ne.jp/Southend/)の移転先にして遺跡です

「放置」はイメージが悪いので「(管理馬の存在の)認知失調」に改めましょう

http://kurige.seesaa.net/article/34667750.html
▼くりげ日記、久々の更新。プリサイスマシーンが勝ったまさにその日というのが分かりやすくて好感持てます(ちなみにウチの出資馬は14着でした・・・・・・)。で、その内容はというと、某一口サイトのある馬の個別スレでの、この世界ではよくある放置騒ぎをとっかかりにした厩舎管理論(という把握でいいのかどうかは判然としませんが)。

萩原師はこの馬は1000万下では苦しいと思っているから、一番良い状態で一番良い条件で競馬をさせたいのでしょう。
もし大きな着順をとれば競争馬としての寿命を縮めると考えているのでしょう。
それは彼の競馬のスタイルでもあるわけです。
故に、預託数が多くなるわけでもあります。
しかし、それは今の競馬のシステムに合わなくなってきているのです。
今の競馬では1000万下と1600万下はある程度在厩していないとレースに出られません。
外厩を多用して一番良い状態の馬だけを入厩させて競馬に挑もうと考えても、遅れ遅れになってしまうのです。
であれば、預託馬に余裕のある厩舎に転厩させて、残った馬集中する方が理にかなっているのです。

▼おそらく藤沢和・森両師あたりが嚆矢であっただろう外厩への短期放牧の多用というのは、東西ともにすっかりスタンダードになった手法ですが、関東と関西では全く様相が違うように思えます。すっきりとは説明できないんですが、その違いというのは、藤沢は放置するけど森は放置しないよ(使わない馬はすぐ転厩・退厩させるので)とかそういう話ではなくて(できればその話もじっくりしたいところですが)、東西の背景の差異、具体的には馬資源の質の差から来る何か、ではないかと。簡単な仮説を示しておくと、
<関西の厩舎>

  • はじめから預託馬を絞り、短期放牧を活用することで、くりげ君の言うような有機的な(つまり下級条件馬の回転を良くして、全体の出走数を保ちつつ上級条件馬の馬房も確保する)使い方をしている

<関東の厩舎>

  • とりあえず預託馬をかき集めて、短期放牧を活用することで、限られた馬房をフル回転させつつ、その(関西に入厩できなかったあぶれ馬たちの)中から"当たり”を見つけるためふるいにかけている

という塩梅。まぁ、細かく検証した上で言っているのではなく、あくまで印象の域を超えないんですが。ただ、東西の厩舎ごとの現役管理頭数の上位リストを作って比べてみると、こんな感じになるのは確か。



順位 関西 頭数 主なトレセン近郊放牧先 関東 頭数 主なトレセン近郊放牧先
1 森秀行 68 グリーンウッド、島上牧場 二ノ宮敬宇 61 ドリームF
2 池江泰郎 57 アカデミー牧場、グリーンウッド 小島太 61 山元トレセン、ブライトS?
3 鮫島一歩 53 大久保洋吉 60 山元トレセン
4 大久保龍志 52 宇治田原優駿 藤沢和雄 60 ミホ分場
5 安田隆行 50 グリーンウッド 和田正道 59 和田牧場
6 藤原英昭 50 栗東ホースクラブ 田村康仁 57 ジョイナスF、ミッドウェイF
7 橋口弘次郎 48 グリーンウッド 国枝栄 56 ジョイナスF、ミッドウェイF
8 松田博資 48 宇治田原優駿 萩原清 56 山元トレセン
9 崎山博樹 48 菊川正達 55 水野馬事センター
10 橋田満 47 戸田博文 54 水野馬事センター
11 西園正都 47 加藤征弘 54 セグチレーシングS
12 藤岡健一 47 グリーンウッド、宇治田原優駿 鈴木伸尋 50 相川牧場
13 山内研二 46 (北海道・ヤマダS) 尾形充弘 49
14 角居勝彦 46 グリーンウッド、アカデミー牧場 高橋裕 49
15 音無秀孝 45 グリーンウッド 堀宣行 49 ミッドウェイF、シンボリ牧場内梶村S
16 田所秀孝 45 松山康久 47
17 石坂正 45 天栄ホースパーク内吉澤S 宗像義忠 47 オークヒル
18 長浜博之 44 相沢郁 47 天栄ホースパーク内吉澤S
19 加用正 43 (同数多数) 46
20 藤沢則雄 43 イクタトレーニングF?
※2007/02/25現在のTARGETによる集計。
※同じ条件の集計による、中央全体の現役馬(と厩舎数)の総数は、

  • 美浦:4046頭(115厩舎)
  • 栗東:3839頭(112厩舎)

※短期放牧先は、特に関東は馬の馬主・生産牧場によって左右される(社台系は山元トレセン、シルクは天栄、ウインはミッドウェイなど)場合が多いので、参考程度に。
※Fはファーム、Sはステーブルの略。
※ほぼクラブ情報を元に作成したいい加減な情報なので、追記・修正すべき情報があれば是非タレコんで下さい。
※牧場名の太字表記は、タレコミなどによる追記・修正分です。


▼つまり萩原厩舎に限らず、少なくとも上の方だけ比べれば、関東の厩舎の方が馬を多く預かりがち、という傾向は明らか、ということです。まぁ関東の方が上位厩舎に集中しがちな(あるいは下位厩舎がひどすぎる)だけなのかもしれませんが、総数を見ても微妙に美浦の方が多い感じで、単純に成績が良い方(つまり関西)に馬が多く集まっているというわけではないのは確か。で、あるならば、これは東西格差という背景を考慮した調教師サイドの意図に、ある程度基づいている数字なのではないのかな、と。いや、他にも色々要因は考えられるでしょうけど。例えば「遠征のあまりない下級条件レベルなら、東の方がレベルが低いから勝負になる」と考えて、敢えて美浦に預ける馬主が多い、とか。繰り返しますが、これは問題点をシンプルにした単なる仮説、ということでひとつ。回りくどくてすいません。
 しかし、預託料も全体的には美浦の方が高いっていう話なのになぁ(参考:http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_00f0.html)。背景を考えれば理屈で説明できなくもない状況だと思うんですが、やっぱりなんだか不思議。まぁ別にここで短絡的に「貧すれば鈍す」とか結論づけたいわけではなく、今回は「そういうもんらしいよ」と投げっぱなすだけで終わる話ではありますが(えー)。ただ一口馬主(を今後も続ける気のある人)あたりはちょっと意識しておいた方がいいことかな、という気も。



▼なんだか全然まとまりませんでした。表のデータも含め、色々と突っ込み待ちのエントリ、ということで(えー